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甘さの設計図、香りの余白|パティスリー・ラコンテ

テントの白が、冬の空をやわらかく反射していました。
その下に並ぶのは、焼き菓子の袋と、手に取るだけで香りが立つようなパイの層。
パティスリー・ラコンテは、ここに「定番」だけを置いていない。
話を聞いて最初に返ってきたのは、はっきりした軸でした。

第一章|「季節を大切に、季節のお菓子を出す」

店の芯は、迷いがない。
大切にしているのは季節。そして、季節に合わせて“お菓子がちゃんと着替える”こと。
新作やラインナップを、季節の気配に合わせてどんどん変えていく。
その姿勢があるから、棚の前に立つ時間がちょっと長くなる。
選ぶ側の感覚も、自然と「今だけ」に寄っていく。

第二章|コーヒーと合わせるなら:「苦さに、甘さを当てる」

コーヒーに合うスイーツの話になると、答えはとてもわかりやすかったです。
コーヒーの苦さに合うように、逆に甘いもの。
おすすめとして挙がったのは、ロールケーキやショートケーキ
ふわふわの口当たりが、コーヒーの輪郭をやさしく丸めてくれる、という考え方です。

苦い→甘い、の単純さじゃなくて、「苦さを気持ちよく終わらせる甘さ」へ持っていく発想。

第三章|今日のおすすめ:「フェスのときだけのアップルパイ」

その日の“推し”として出てきたのが、アップルパイ。
しかも、コーヒーフェスのときだけに出している特別枠。

りんごは紅玉と富士を合わせて煮る。
酸味のある紅玉に、富士のふくよかさを重ねて、パイのサクサクと噛み合わせる。
「とてもおいしいように作っているので」と言い切れるのは、配合が“狙い通りに着地している”
人の言い方でした。

喫茶叙景文 ~季節が変わるたび、棚が入れ替わる甘さ~

白いテントの下、紙の匂いとバターの匂いが、冬の空気にゆっくり混ざっていく。
手袋越しに受け取る袋は軽いのに、帰り道の重さだけは確かに増える。
甘いものは、体積よりも記憶を運ぶ。

棚の上で、焼き菓子が整列している。
どれも「持ち帰るための顔」をしている。
家の机の上に置いたとき、ようやく完成する種類のやさしさ。
季節に合わせてお菓子を変えていく、と聞いた言葉が、袋の向こうからまだ温かい。
変わり続けることで、毎年同じ場所に戻れる——そんな逆説が、この店の甘さの骨組みなのだと思う。

アップルパイは、層の間に空気を抱えたまま、こちらを待っていた。
紅玉と富士を合わせて煮る、と教えてもらったのは、味の説明というより“景色の作り方”だった。
酸味が立つ紅玉に、富士の丸みを重ねて、サクサクのパイに着地させる。
噛んだ瞬間に、音がする。冬の乾いた空に似た音。

家に戻って、袋を開く。
テーブルの光が少し柔らかく見えるのは、たぶん糖分のせいだけじゃない。
甘さは、ときどき生活の速度を落としてくれる。
急いでいる日ほど、甘いものが必要になるのは、身体ではなく時間が空腹だからだ。

季節は、いつも少し遅れて追いついてくる。
けれど、こうして季節のお菓子を食べると、こちらから季節へ歩み寄れる。
祝祭みたいな大げささはない。
ただ、静かな台所に、サクッという音が落ちる。
それだけで、今日という一日が、きちんと閉じられる気がした。

店舗概要

1 住所:

神奈川県横須賀市追浜東町3丁目65−21 追浜会館ビル A棟

2 アクセス:

追浜駅から徒歩10分/横須賀スタジアム近く(会場POPより)

3 営業時間:

10:00〜19:00(※祝日など変動の可能性あり)�

4 備考:

コーヒーに合わせる提案:苦さ×甘さ(ロール/ショート推し)
フェス限定:アップルパイ(紅玉×富士)

5公式Instagram:
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