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冬の中庭をコーヒーで満たす日。Tokyo Coffee Festival 2025冬レポート

国連大学前の中庭に着いたのは、開場まもない時間だった。
白いテントがいくつも並び、真ん中には丸いスタンディングテーブルと
黒いスツールがぽつぽつ置かれている。

まだ誰も腰を下ろしていない椅子。
湯気の代わりに、冷たい風だけがテーブルの脚をなでていく。

このあと何百人もの人がここでカップを置き、
「今日いくつ回る?」「次どこ飲む?」と話すのだと思うと、
まだ空っぽの会場が、これから始まる交響曲の“前奏”みたいに見えた。

シールと小さな陶器のテイスティングカップを受け取り、
ガイドマップを折りたたんで手帳にはさむ。
冬のTokyo Coffee Festival 2025、珈琲巡礼の一日がゆっくりと開幕した。

第一章|Tokyo Coffee Festival 2025冬という舞台

Tokyo Coffee Festival の会場は、いつものように国連大学前の中庭
コーヒーブース、フード、グッズ、パートナー企業のテントが縦長に並び、
真ん中の通路を人の流れが行ったり来たりする。

入り口近くの黒いフラッグには、白い手書き風ロゴの 「Tokyo Coffee Festival」
横では、FARMERS MARKET のチョークボードが
「10:00–16:00」の営業時間をにぎやかに告げている。

今回のテーマブックは、グラデーションが美しいパンフレット
Coffee is the Symphony ― コーヒーを巡り、交じり合う5つの対話」。
ONIBUS × Standart、NAGASAWA COFFEE × Yeti など、
コラボレーション企画のラウンドが紹介されていて、
紙面をめくるだけで、各地の焙煎所同士の掛け合いが聞こえてくるようだった。

第二章|10店舗巡礼のざっくりダイジェスト

今回の巡礼ルートは、コーヒーだけでなく
焼き菓子、本、道具まで含めた「ぜんぶ入り」。

・GRAY coffee roastery から始まる、会場一杯目のコーヒー
・komichi の、体にやさしい素材で作るスコーン
・BITTY の「烏龍茶いちじくパウンドケーキ」
・古民家カフェ haru のホットジンジャーレモネードとバスクチーズケーキ
・COFFEE BASE の、京都の水で確かめるエチオピア
・コーヒーを読む日曜。のZINEとparking/CBYH シリーズ
・ORIGAMI の色とりどりのドリッパーとセンサリーカップ

一日を通してだいたい10ブース前後を巡り、
次はどんなカップが出てくるだろう」と、
小さな陶器のカップを片手に、地図の上を行ったり来たりした。

それぞれのお店については個別の記事でじっくり書いたので、
ここでは「フェス全体の風景」のなかで、少しだけ振り返っておきたい。

第三章|カップの中の“物語”を巡る

冬フェスの印象に強く残っているのは、
「コーヒーそのもの以上の物語」が、カップの周りにたくさんあったことだ。

COFFEE BASE のブースでは、
同じエチオピアを「上水」と「水道水」で飲み比べる企画が行われていた。
水道水のほうは、コーヒーの表面に透明な膜が一枚かかったみたいに、
香りも甘さも薄くなってしまう。
「水が変わると、コーヒーの輪郭がここまで変わる」と
頭では知っていたことを、舌で改めて納得させられた。

焙煎度によって湯温や注ぎ方を変えながら、
「コーヒーは甘く出したい」と話してくれたバリスタさん。
その一言のおかげで、
その後に飲んだ他店のコーヒーの“甘さの出方”にも
自然と目が向くようになっていた。

「飲み比べ」だけでなく、
一杯一杯の裏側にある“考え方の違い”に触れられるのが、
このフェスならではの面白さだと改めて感じた。

第四章|焼き菓子と本がつくる“第二の会場”

コーヒーブースの合間には、
焼き菓子やZINE、本のブースがいくつも並んでいた。

BITTY の木箱の棚には、黄色いロゴシールが貼られた焼き菓子。
「記憶に残るお菓子を意識して作ってます」という言葉どおり、
烏龍茶いちじくパウンドケーキの香りは、
家に持ち帰ったあとまでしっかりと残った。

コーヒーを読む日曜。 のブースでは、
「コーヒーと器」「コーヒーと音楽」「コーヒーと写真」、
そして上海のコーヒーシーンを特集したZINEが並んでいる。
コーヒーそのものではなく、
コーヒーの“となりにある文化”を掘り下げる視点が新鮮で、
会場の一角だけ小さな図書室になっているようだった。

同じテーブルに並んでいた parking の雑誌は、
「立ち止まる」ことをテーマにした旅と人の物語。
人が一度ブレーキを踏んでから、また歩き出すまでの時間を
静かに切り取ったようなページが続いていた。

一日の終わりに読み直すと、
フェス会場のざわめきが、すこしゆっくりなテンポに変わっていく。

五章|色とかたちで変わるコーヒー体験 ― ORIGAMI ブース

最後に立ち寄ったのは、
色とりどりのドリッパーとカップが並ぶ ORIGAMI のブースだった。

テーブルの上には、
淡いミントグリーン、さくら色、マットブラックのドリッパーが
花のようにひろがっている。
その下の段には、センサリーフレーバーカップハーモニーカップ

私が選んだのは、
センサリーフレーバーカップ マットブラック
イベント開始直後、ブースの前を通った瞬間に
「家用のマグはこれがいい」と直感した一客だという。

口元が少しすぼまった有機的な形は、
香りをそっと閉じ込めながら、
手に持ったときの重さと質感も心地よい。

さらに、2,000円以上の購入特典として
白い小さなマグカップも一つプレゼントしてもらった。
黒と白、質感も形も違う二つのカップは、
これからの自宅コーヒー時間の“TCFの記念品”になっていく。

喫茶叙景文 ~10杯分の余韻を抱えて~

夕方が近づき、
最初は誰も座っていなかった丸テーブルに、
空になった紙コップや試飲カップがいくつも並んでいる。

パンフレットのグラデーションは、
朝より少し角が丸くなり、
何度も取り出された跡が、柔らかな折り目として残っていた。

小さな陶器のカップの内側には、
もうコーヒーの色は残っていない。
代わりに、指先の記憶だけがそこに残っている。

行列に並びながら聞いた焙煎の話。
焼き菓子の木箱の前で迷った時間。
ZINEのページをめくりながら確かめた、
「コーヒーのとなりにあるものたち」のこと。

国連大学前の中庭から離れても、
バッグの中のパンフレットと、
家に持ち帰ったカップに触れるたびに、
あの日のざわめきが、少しだけ胸の奥で蘇る。

10杯分の余韻は、
マグカップに注ぎなおされた毎日のコーヒーと混ざり合いながら、
次のフェスまでのあいだ、静かに続いていく。

店舗概要

1 住所:

東京都渋谷区神宮前5-53-70

国連大学中庭(Farmer’s Market @ UNU)

2 アクセス:

東京メトロ 表参道駅 B2出口から徒歩数分

渋谷駅・表参道駅からバス利用も可

3 開催日時:

2025年12月13日(土)・14日(日)

10:00〜16:00 予定(Farmers Market と同時間帯)

4 備考:

入場自体は無料、コーヒー試飲はチケット制

小さな陶器のテイスティングカップ付き

コーヒーブース/フード/グッズ/パートナー企業ブースで構成

会場は屋外のため、冬は防寒必須(手袋・マフラー推奨)

最新情報や出店者リストは、Tokyo Coffee Festival 公式サイト・SNSで要確認

5 最新情報:

公式Instagram。

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