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ひと口で“競技”の地平へ|Ult. Coffee Roasters(ウルトラ・コーヒー・ロースターズ)(銀座コーヒーフェスティバル)

イベント会場のざわめきの中で、ふと足が止まる場所があります。
派手さではなく、整っていることが理由になるブース。
器具も、所作も、パッケージも、説明の言葉も――全部が「同じ方向」を向いている。

白い袋に刻まれた記号、色で分かれるラベル、箱の角の揃い方。その静けさが、かえって強い。
ここは“偶然おいしい”を置かない場所だ、と。

ULT.が持ち込んでいたのは、日常のラインだけではありません。お店で出しているベーシックラインに加えて、パナマの特別なコーヒー、そしてイベント限定でしか出さないものもある――その言葉だけで、今日の一杯が「一期」になる予感が立ち上がります。

一章|ULT.という設計図:焙煎所であり、競技の延長線

今回、現場で聞けた言葉が、ULT.の輪郭をいちばんわかりやすくしてくれました。

・今日持ってきているのは、お店で出しているベーシックラインのコーヒーと、
パナマのコーヒー

・その中には、イベントでしか出していないコーヒーもある
・ベーシックラインは、隣接する「シュハリ」という会社とも関わりながら焙煎・販売している
・そしてラインナップには、ドリップパックもある

この「日常」と「競技」の二層構造が、ULT.を“店”以上にしています。
いつもの一杯を磨きながら、勝負の一杯も並行して育てる。
その両立が、ブース全体の密度になっていました。

二章|会場で選んだ一杯:低カフェインの希少種「ラウリナ」の、やさしい輪郭

今回の主役のひとつが、COLOMBIA GUSTAVO TROCHEZ – LAURINA – WASHED
ラウリナは、天然の低カフェインで知られる希少品種で、
繊細な風味と軽やかさが特徴、と公式にも記されています。�ULT.
NOTEとして挙がっているのは、
カモミール/マンダリンオレンジ/青りんご/キャラメル。�
ULT.

精製はウォッシュドですが、内容はかなり具体的で、
24時間の酸化工程 → 48時間の嫌気性発酵という設計。�
この情報だけで、“ただ優しい”で終わらない理由が見えます。
香りが浮き、甘さがほどけ、後口が整う。狙って作られた静けさ。
ULT.

現場でも、ラウリナについてこう語られていました。
「もともと生まれ育った時にカフェインが少ない品種で、甘さが結構ある」
この一言が、公式の説明と綺麗に重なります。�
ULT

三章|もうひとつの軸:World Barista Champion Blendという“再現”

ドリップパックの話題で出てきたのが、世界チャンピオン(ボラム・ウム)
の競技使用コーヒーを再現したブレンド、という文脈。
その説明は、商品ページの内容とも響き合います。

2023 WORLD BARISTA CHAMPION BLENDは、
優勝に導いた同じ豆を使用したブレンド”として紹介されています。�ULT.

構成は、
ゲシャ(Panama)の華やかなフローラルさとトロピカルな甘み
ピンクブルボン(Brazil)のクリーミーさとフルーティーな複雑性
この組み合わせを「至高の一杯」として言語化しています。�
ULT.

NOTEは、
オレンジ/クランベリー/キャンディのようなラズベリー/シルキーな口当たり/赤りんご/
レッドティーの余韻。�ULT.

さらにプロセスも競技らしく尖っていて、
嫌気性ウォッシュド72時間 × ナチュラル、乾燥はレイズドベッド7日 × ダークルーム23日。
味の派手さではなく、工程の思想で殴ってくるタイプです。ULT.

四章|所作メモ:ブースで見えた“整え方”

会場での抽出は、器具が語る情報量が多いタイプでした。
ドリッパーやサーバー、スケールの配置がきれいで、抽出者の動線が短い。つまり、ブレが入りにくい。

注ぐ前の準備が丁寧:道具の位置が固定されている=再現性を最優先
粉の扱いが軽い:必要以上にいじらない(香りの逃げを抑える)
・“説明の粒度”が一定:豆の背景→味→合わせ方まで、同じトーンで渡してくれる

五章|家での再現TIP:LAURINA を“軽さだけ”で終わらせない

LAURINAは繊細で軽いぶん、家だと「薄い」に寄りやすい。だからこそ、狙いを先に決めます。
・目標:カモミール系の香り+青りんごの透明感+キャラメルの甘さ(公式ノートの方向)�ULT.
・コツ:抽出は“速くしすぎない”。軽さを保ちながら、甘さの芯を残す
・失敗しやすい点:温度を上げすぎると繊細さが崩れて、輪郭が荒くなる

そしてドリップパックの場合は、“粉量が固定”という条件があるので、
湯量で濃度を作るのがいちばん再現性が高いです。
(※ドリップパックの背面表示に沿って蒸らし→分割注湯、の流れでOK)

六章|ペアリング|舌の上に“白い余韻”を置く

現場での答えが、いちばん良かったのでそのまま芯になる。
LAURINAのように「きれいな味わい」には、
洋菓子だけでなく和菓子も合う。

おすすめの方向性:
和菓子:こし餡/練り切り/求肥(香りを邪魔しない甘さ)
:ミルクチョコより、ホワイトチョコやバニラ系(輪郭を曇らせない)
CHAMPION BLEND側:赤い果実~紅茶余韻なら、ベリー系焼菓子や柑橘ピール

喫茶叙景文 ~京町堀の空気は、まっすぐではない~

ビルの影が少しずつ角度を変え、昼の熱をいったん壁に預けて、また歩道へ返してくる。
コーヒーの店が“そこにある”というより、街の呼吸が一段落する地点に、たまたま扉が置かれているような場所。

白い袋に刻まれた記号は、感情を煽らない。
けれど、不思議と目が離れない。
色で分けられたラベルは、派手さではなく、秩序のためにある。
選ぶという行為を、迷いではなく意志に変えるために。

LAURINAの香りは、声を張らない花のようだ。
カモミールの穏やかさが先に立ち、柑橘が輪郭を整え、青りんごが透明な冷たさをひとしずく落とす。甘さは、押しつけではなく、最後に机の端へ置かれるメモのように控えめで、確かなキャラメルの気配だけが残る。

競技のブレンドは別の顔をしている。赤い果実、紅茶、シルキーな舌触り。“華やか”という言葉の軽さを避けながら、香りと工程の重みで、飲み手を静かに連れていく。一口ごとに、飲む側の姿勢が正される。それは緊張ではなく、尊重に近い。

帰り道、手に残るのは豆袋の白ではなく、整った余韻だ。今日の一杯が、たまたまおいしかったのではないこと。その偶然を許さない人たちが、街のどこかで、同じ方向を向いて火を扱っていること。それだけで、次の休日が少しだけ確定する。

店舗概要

1 住所:

大阪府大阪市西区京町堀1-11-7�
ULT.

2 アクセス:

大阪市内(詳細は公式情報にて要確認)

3 営業時間:

金・土・日 11:00–17:00(Cafe Open)**�
ULT.

4 備考:

:ULT. Coffee Roasters / ULTIMATE Experienceとして展開。会場ではベーシックライン+パナマ系、イベント限定の豆、ドリップパックも展開。�
ULT.

5公式Instagram:
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