SCAJ2025の会場に足を踏み入れた瞬間、
そこは「賑やかなイベント」というより、
コーヒーという文化を編集中の空間のように感じられた。
派手な呼び込みより、静かな説明。
強い主張より、選ばせる余白。
歩くたびに、
「飲む」よりも「考える」ためのコーヒーが並んでいた。


第一章|抽出以前の話 —— 道具が思想を語る
グラインダー、ドリッパー、ケトル。
どれも「速さ」や「手軽さ」を売りにするのではなく、
なぜその形なのかをきちんと説明できるものばかりだった。
粉の粒度、落ちる速度、湯の当たり方。
会場では、完成した味よりも
「そこに至るプロセス」を語る声が多い。
コーヒーは、
ますます“技術”ではなく“設計”の飲み物になっている。


第二章|飲まなくても伝わるブース
印象的だったのは、
すべてを試飲させないブースが多かったこと。
説明、展示、紙の資料。
飲む前に、考えさせる。
棚に並んだ器具や豆は、
「正解」を押しつけない代わりに、
選ぶ責任をこちらに渡してくる。
それが、この展示会の静かな緊張感だった。

第三章|コーヒーを“食べる”という発想
カカオだま、カカオ製品、
コーヒー由来の新しい加工食品。
ここ数年で確実に増えたのが、
コーヒーを液体以外で楽しむ提案だ。
香りはそのままに、
飲まない形で口に残す。
「飲みもの」という枠を一度外すことで、
コーヒーの可能性が、少し広がって見えた。

第四章|持ち帰ったもの、という記録
今回購入したのは、
きれいなコーヒードリップパックと、カカオだま。
そしてもうひとつ、
会場の中でふと足を止めさせたのが、チャイだった。
▍アーンさんのチャイ、四つの表情
コーヒーの展示会で出会ったチャイは、
意外というより、むしろ自然だった。
スパイスを誇示しない。
甘さでまとめすぎない。
日常に戻っても、ちゃんと居場所がある味。
四種類それぞれに性格があり、
「特別な一杯」ではなく、
その日の気分で手に取れる距離感がある。
コーヒーの合間に飲むためではなく、
コーヒーと並べて置ける飲みものとして、
静かに選んだ。


喫茶叙景文 ~SCAJという場の変化~
SCAJ2025を通して感じたのは、
「競う展示会」から
「共有する展示会」へ移ってきているということ。
焙煎度の優劣ではなく、
流行の浅煎り・深煎りでもなく、
それぞれが
「なぜ、いま、この形なのか」を語っていた。
袋の中で、
豆はまだ眠っている。
チャイも、まだ開けていない。
それでいいと思った。
SCAJ2025は、
飲み切るためのイベントではなく、
持ち帰ってから考えるための時間をくれた。
カップの外側に残った香りが、
しばらく、日常に混ざってくれるはずだ。


店舗概要
- 1イベント名:
-
SCAJ2025(スペシャルティコーヒー展示会)
主催
Specialty Coffee Association of Japan(SCAJ)
- 2 アクセス:
-
・ゆりかもめ「東京ビッグサイト駅」より徒歩約3分
・りんかい線「国際展示場駅」より徒歩約7分
- 3開催日 :
-
2025年9月24日(水)〜9月26日(金)
- 4 備考:
-
・日本最大級のスペシャルティコーヒー業界向け展示会
・ロースター/器具/抽出/原料/包材まで幅広い出展
・試飲は多いが、主軸は「商談・技術・思想の共有」
・一般向けイベントというより“業界の現在地を読む場”**
・来場者はプロ・セミプロ・熱量高めの愛好家が中心
※開催内容・入場条件・時間帯は年ごとに変更されるため、最新情報は公式発表をご確認ください。










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