MENU

山梨のグレーから届いた果実の一滴 ETHIOPIA Bombe と出会う朝|GRAY coffee roastery(Tokyo Coffee Festival 2025 冬)

代々木公園の一角、雨上がりのような曇り空の下で、ひときわ落ち着いたブースが目に入る。
白いテントの中に、グレーのテーブルクロス黒いケトル、無地のパッケージ

色数は少ないのに、そこだけ空気が澄んでいるように感じる。
カウンターの内側では、スタッフの方が静かにドリップを続けている。
肩の力を抜いた所作なのに、一投ごとの湯の落ち方はとても繊細だ。

自分が楽しく淹れられることが一番かなと思っていて
そう話す声が、湯気と一緒にカウンターのこちら側まで届く。

きっとこのブースは、“好き”の温度であたためられている。
そんな予感がして、最初の一杯をここで選ぶことにした。

一章|山梨・甲府のグレーな焙煎所

GRAY coffee roastery は、山梨県甲府市にあるロースタリー。
「GRAY=中間の色」の名前の通り、
カフェと焙煎所、日常と非日常のあいだをゆったりと行き来するような、静かな立ち位置を感じる。

ブースには、コロンビアやパナマ、グアテマラ、エチオピアなど、
精選方法や品種の違いがはっきりと分かるラインナップが並んでいた。

Flavor の欄には、
ホワイトピーチ、レッドグレープ、フローラル、キャンディ、ジューシー――
そんな言葉が並び、紙の上なのに香りが立ち上がってくるようだ。

水質の話になったとき、スタッフの方はこんなふうに笑う。

「お店とまったく同じ味を出すのは、正直むずかしいと思うんです。
でも、スペックや情報を見ながら 自分がおいしいと思える味に近づけていけばそれでいい かなと

完コピじゃなくて、“自分の正解”を見つけるための豆。
そういうスタンスが、GRAY さんらしさなのだと思う。

二章|会場で選んだ一杯

ETHIOPIA Bombe|透き通るフルーツ

Tokyo Coffee Festival の最初の一杯に選んだのは、
ETHIOPIA Bombe(ナチュラル)

抽出された液体は、黒というより、すこしだけ赤みを帯びた琥珀色。
口元に近づけた瞬間、まず香りがはっきりと立ち上がる。

ホワイトピーチの柔らかい甘さと、
レッドグレープのようなみずみずしい酸。

一口目から「フルーティーです」と名乗ってくれるコーヒー で、
香りと果実味が輪郭くっきりと舌に触れるのに、
後味だけは、水のようにすっと消えていく。

余韻は短くて、透明。
その短さが、むしろ次の一口を呼び寄せてくる。

「あ、いまの桃、もう一回」
そう思っているあいだにカップが軽くなっていく、危険なタイプの一杯だ。

三章|売り切れからはじまる、GUATEMALA “Magnolia”

会場で気に入った味は、いつもドリップバッグで持ち帰るのがケイさんの定番。
もちろん今回も ETHIOPIA のドリップパックを手に取ろうとする。

……が、目の前でまさかの 完売

代わりに選んだのは、GUATEMALA El Injerto “Magnolia” のドリップパック。
Flavor には、レッドワイン、クランベリー、焼きリンゴ、ダークチョコレート――
エチオピアとは対照的な、深みのある赤のイメージが並んでいた。

会場での一杯が「透明な果実」なら、
おみやげは「夜に飲みたい赤ワイン」のような存在。

家でゆっくり淹れるとき、
きっと Tokyo Coffee Festival のざわめきではなく、
山梨の空気や焙煎所の景色を想像しながらカップを傾けることになる。

四章|灰色の抽出ノート

GRAY さんのカウンターで印象に残ったのは、
派手さのない、淡々としているのに楽しそうな 抽出のリズム。

・黒い電気ケトルから落ちるお湯は、終始細く、静か

・蒸らしのあとの注ぎも、粉の中心からすこしずつ範囲を広げていくような、落ち着いたサークル。

・抽出中もスケールの数字ではなく、サーバーの液面や泡の状態をよく見ているのが印象的だった。

「レシピは会社としてみんなで考えていて」と話していたけれど、
最終的にその場の湯加減を決めているのは、
カウンターの内側にいる人の楽しさなんだと思う。

“楽しく淹れられる一杯”は、カップの向こう側にもそのまま伝染する

喫茶叙景文 ~舌に灯る果樹園~

テントの外では、冬の空気が白く曇っている。
一歩中に入ると、グレーの布の上だけ、色の粒がにじんでいた。

エチオピアの液面が、ほんのりと赤く光る。
鼻先をかすめたのは、白桃のやわらかさと、葡萄の皮だけを集めたような酸。

一口含むと、果物の気配だけが舌の上にふわりと灯って、
その明かりが消えるより早く、喉の奥へとすり抜けていく。

カウンターの向こうでは、黒いケトルがまた静かに傾けられている。
スタッフの横顔は真剣で、どこか楽しそうだ。

完全再現を求めるなら、
いつか山梨の街まで、灰色の看板を探しに行けばいい。

今日のところは、
東京の片隅で手にした一杯の透明な果実を、
心のどこかにそっと置いておく。

それだけで、帰り道の色が、すこしだけ変わって見える。

基本情報

1 住所:

 山梨県甲府市伊勢 2-9-1 3F

2 アクセス:

R甲府駅エリア(詳細な道順や最新情報は公式SNSを確認推奨)

3 営業時間

10:00〜18:00(※金曜+不定休。最新の営業日は要確認)

4 備考・お店の概要

浅〜中煎り中心で、産地の個性と酸のニュアンスを大切にしたロースター。

産地/ロット情報とトレーサビリティを重視し、

イベントでは

①フルーティで華やかなライン/②チョコ・ナッツ系の飲みやすいラインの2軸で豆が並ぶことが多い。

ロゴやパッケージはモノトーン×ミニマルなデザインで、コーヒーの味を静かに際立たせている。

5 最新情報:

公式Instagramで告知。

表示できるコメントはありません。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする