MENU

本からはじまるコーヒーの旅|コーヒーを読む日曜。(Tokyo Coffee Festival 2025冬)

通りの一角だけ、湯気の代わりに紙の匂いが漂っていた。
ドリッパーの並ぶブースのあいだに、静かに佇む本の棚。
「コーヒーを読む日曜。」の旗の下には、コーヒーのこと
を“飲む”のではなく“読む”ための本
がきちんと並んでいる。
カップを片手にページをめくる未来を想像しながら、ZINEと雑誌の山
にゆっくりと近づいていった。

第一章|「コーヒーを読む」場としてのブース

Instagramでは、毎週日曜の朝8時に配信しているコーヒー系Podcast、
「コーヒーを読む日曜。」。コーヒーのニュースレターを読み上げながら、
Qグレーダー資格を持つコーヒープロと、元スタババリスタのふたりが
ゆるく語り合う番組
だ。

フェス会場のブースでは、その番組から派生した ZINEシリーズ
CBYH(coffee beat your heart)」 と、もうひとつの雑誌 「parking」 が
ずらりと並ぶ。手書きのポスターには「美味しいコーヒーの本はいかがですか
の文字。ここは豆ではなく、“コーヒーの考え方” を量り売りしている本屋の
ようなスペースだった。

第二章|CBYH ─ コーヒーを別の角度から

作者さんは、「コーヒーの本は世の中にたくさんあるから、あえて別の角度からコーヒーを語りたい」と言っていた。
その言葉通り、CBYH の各号はテーマごとに切り口が少しずつ違う。

コーヒーと器の本
コーヒーを飲むときに欠かせないカップや器に焦点を当てた一冊。
「コーヒーを選ぶように器も選べたら」という発想でまとめられていて、
カップ選びの参考書のように読める。

コーヒーと音楽の本
コーヒー店には必ずと言っていいほど音楽が流れている。そこにある
コーヒーと音楽の親和性」をかたちにしたくて作られた号。
一杯の味の記憶と、その場で流れていた曲がセットで思い出せる感覚を、
そのまま紙に閉じ込めている。


コーヒーと写真の本
Instagramを開けば、毎日どこかで誰かがコーヒーの写真を上げている時代。
その写真を撮る側は何を考えてシャッターを切っているのか、写されるコーヒー
屋さんはどんな気持ちで見ているのか。そんな問いから生まれた一冊で、
“撮る側と撮られる側、両方の視点”が丁寧に並んでいる。

上海のコーヒーシーンの本
作者が上海を訪れたとき、コーヒー屋が全然見つからなかった経験から始まった号。
「どうすれば見つけられるのか、その情報をシェアしたい」という思いで、
地図やお店のストーリーをまとめた、旅のガイドブックのような内容になっている。

今回わたしが選んだのは、この中でも「コーヒーと写真」の号(CBYH)
ブログやインスタの写真をもっとよく撮りたいという個人的な動機と、
これまで巡礼して記事にしてきたお店が登場している嬉しさもあって、
ページをめくるたびに、川越コーヒーフェスの記憶がふわっと蘇ってくる一冊だった。

第三章|parking magazine ─ 立ち止まるための雑誌

ブースのもう一方に並んでいたのが、雑誌「parking」
表紙には「メルボルンの肖像」「台南と台南」といった文字が並び、
コーヒー、音楽、ライフワークが静かなトーンで詰め込まれている。

・ 編集を担当されている方は、オーストラリア・メルボルンで過ごした2020年の時間をきっかけに
 この雑誌を作り始めたそうだ。

・コロナ禍で、やることがなく立ち止まってしまった日々。

公園でのんびり過ごす人々の姿を眺めながら、
前に進もうとする気持ちと、一度立ち止まる時間の両方が大事なんじゃないか」と思ったこと。

そこから、“公園(park)で一時停止(parking)するような時間を大切にしたい”という意味を込めて
雑誌名が決まったという話を聞かせてもらった。

最近の3号・4号では、「立ち止まったときの人の思い」にフォーカスした特集を組んでいる。
立ち止まることをネガティブに捉えるのではなく、
そこからどこへ向かおうとしているのか、その逡巡ごと肯定してくれるような内容だと聞いて、
コーヒー休憩そのものが人生の“パーキング”なんだなと、少し胸が軽くなる。

第四章|フェスの中の「本屋」で起きたこと

コーヒーの香りに包まれた会場で、紙の束を手に取る行為は少し異質で、だからこそ特別だった。

CBYHの「コーヒーと写真」を選んだ理由は単純で、
これから自分が撮るコーヒー写真を、もう一段階好きになりたかったから。

実際に読んでみると、

お店ごとの考え方や哲学が丁寧な言葉で紹介されていて、

写真の構図や光の使い方だけでなく、「その一杯の背景をどう写し取るか」という視点が自然と身につきそうで、

川越コーヒーフェスで飲んだ、あるいはすでに記事にしたことのある店が登場していて、
自分の記憶と誌面の風景が重なり合う瞬間が何度も訪れた。

コーヒーイベントで豆やお菓子だけでなく、本を一冊連れて帰ると、
後から何度でもその日の空気を抽出し直せる。

このブースで過ごした時間そのものが、「parking」の名前の通り、
フェスの中の小さな一時停止になっていた。

喫茶叙景文 ~カップの代わりに、本を手に取る朝~

豆の香りが濃くなるたび、紙の匂いも少しだけ強くなる。
カウンターの上に並ぶZINEと雑誌は、どれも分厚いカップのように、手のひらにしっくりと収まるサイズをしていた。

立ち止まることを肯定するタイトル。
写真とコーヒーの関係を問い直すページ。
上海や台南の街並みが、印刷インクのざらりとした手触りの向こうからこちらを覗き込んでいる。

カップに注がれたコーヒーは、数分で飲み終えてしまう。
けれど一冊の本は、何度でも淹れ直せるコーヒーのように、
思い出したいときにそっと開き、あの日の湯気とざわめきをもう一度立ち上がらせてくれる。

フェスの通路を行き交う人の流れの端っこで、
ただ一冊を選ぶために立ち止まっている時間。
その短い「parking」のあいだに、これからのコーヒー巡礼の眺めが、
少しだけ遠くまで続いていく気がしていた。

店舗概要

1 活動内容:

・コーヒー系Podcastの配信

・コーヒーZINE・雑誌の制作・販売(CBYH シリーズ、parking magazine ほか)

2 主な媒体:

・Podcast:毎週日曜 朝8:00ごろ配信

・プラットフォーム:Spotifyほか各種ポッドキャストサービス

3取扱いアイテム :

ZINE CBYHシリーズ
・コーヒーと器
・コーヒーと音楽
・コーヒーと写真
・上海コーヒーシーン特集 など

雑誌 parking
・メルボルン特集号
・台湾・台南特集号 ほか

4最新情報:

公式Instagram。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする