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甘さで架ける、朝煎りの入口|kakyo(下北沢)

テントの白が、空の明るさをもう一段だけ上げていました。
その前に、太い黒のロゴ。kakyo。
「下北沢が、来ました!!」と黒板が言い切っていて、コーヒー・お茶・焼き菓子の順番が、いちばん自然に見える並びであった。
この店は、“好き”の入口を増やすために、味をやさしく整えている。

第一章|kakyoという名前に入っているもの

店名に込めた意味が2つ書かれていた。
ひとつは「住境」――心が盛り上がる場所をつくること。もうひとつは「架橋」
――つながりの“きっかけ”になること。

下北沢でカフェ店舗を営み、自家焙煎コーヒーを中心に、日本茶や焼き菓子、
そしてトースト系のフードも提供予定。さらに、2025年9月11日 Grand Open予定、店舗住所は「東京都世田谷区代沢5-28-17 Zeebop下北沢102」と明記されている。

この時点で、店の輪郭はかなり鮮明だ。“コーヒーだけの店”ではなく、気分の入口をいくつも用意する店。
そして入口同士を、ゆっくり渡らせる店です。

第二章|味の核は「甘さ」だった

・コーヒーは浅煎りがメインで、酸味やフルーティーさを楽しめるようにしている
・ただし、風味が強すぎるより、馴染みやすい“優しいコーヒー”を多く扱う
・コーヒーが苦手な人もいるから、コーヒーだけでなくお茶も“がっつり”やる
・そして外せない要素が、スイートネス(甘さ)
 甘さが伸びないと軽くなる
 出すぎると苦く渋くなる
 だからこそ、気持ちいい綺麗な甘さを常に狙う

難しい言い方をすると“抽出設計”ですが、本人の言葉はもっと人間的であった。
「難しいことを考えずに、素直に優しくドリップしてあげれば美味しくなるよ」
――この一文が、店の姿勢をそのまま表している。

第三章|当日のラインナップが“店の思想”を説明していた

Coffee(店頭ドリンク)
Costa Rica Santa Teresa / White Honey ¥750
Rwanda Simbi CWS / Fully Washed ¥750
Indonesia Jawa Arisan / Washed ¥700
Indonesia Flores Ruteng / Natural(Dark Roast) ¥700
加えて、SPECIAL MENUとして
Panama Totumas The Geisha “Milkyway peaberry” / Extended Fermentation Washed ¥2,800
(豆の販売:30g ¥6,000)
浅煎り中心の“やさしい”が土台にありつつ、深煎りや特別な一杯も置いて、入口の幅を作っていました。
Tea
ほうじ茶(福岡八女 浅煎り白折) ¥600
茶葉 各種15g ¥900(掲示あり)
Sweets
カヌレ(プレーン/ほうじ茶) 各¥400
フィナンシェ(プレーン/チョコレート) 各¥350
スイーツ2個以上で50円引き(掲示あり)

オンラインで「Cannelé de Bordeaux Set(¥2,100)」が掲載されていて、
プレーン2個+ほうじ茶2個のセット、外カリ・中もちの食感、冷凍便で届いて解凍して楽しめること、ギフトラッピング対応まで書かれている。
店頭の“カヌレ推し”は、ちゃんとオンラインにも橋がかかっている。

所作メモ|「優しく注ぐ」ための、現実的なコツ

注ぎは“細く・近く・静かに”:勢いより、均一さ
湯量は迷ったら少なめ→足す:出し過ぎ(苦渋)を防ぐ
甘さが出ているかの判断:口当たりが“丸い”/余韻が“やわらかく伸びる”
失敗のサイン
 軽い・薄い:甘さが伸びていない
 苦い・渋い:出し過ぎ、もしくは勢いが強い

「優しい」は“薄い”ではなく、甘さの設計。ここがkakyoの真骨頂である。

ペアリング|甘さを邪魔しない、甘さ

ペアリングの主役は、やっぱりカヌレであった。
「カヌレとコーヒーは、どれでも相性いいようにしている」
浅煎りでも深煎りでも、という言い切りが強い。

そして、スイーツ側の設計も意識している。
・風味を強くしすぎない
・やたら甘くしすぎない
・コーヒーの味を阻害しない
・重くなりすぎない

コーヒーが主役で、スイーツは脇役”ではなく、
どちらも主役になれるように、互いの邪魔をしない。そういう作り方です。

家での再現TIP|カヌレと合わせる日の、現実解

・まずは湯温を少し下げる(沸騰直後を避け、落ち着かせる)
・注ぎは急がない:湯が暴れると、味が尖りやすい
・カヌレを合わせるなら、コーヒーは香りより“甘さ”の余韻を狙う
・お茶の日は、ほうじ茶×ほうじ茶カヌレで香りを重ねると、家でも“店っぽさ”が出る。

カヌレは“甘さを邪魔しない”ために作られている

スイーツの話題になった瞬間、答えは迷いなくカヌレに戻ってきました。
「カヌレがスイーツの中ではグランドメニュー」――この言い方が、店の軸をそのまま示しています。
そして、その軸は“人気商品”という意味だけではなく、コーヒーの設計と同じ思想で作られている、
という意味でもあった。

kakyoのカヌレは、どのコーヒーにも寄り添うようにできている。
浅煎りでも、深煎りでも。
酸の立つ一杯でも、香ばしさの伸びる一杯でも、スイーツが味の邪魔をしない地点に置かれている。

そのために、味作りで意識しているのは“足し算”ではなく、むしろ“引き算”だった。
風味を強くしすぎない。
甘さをやたらと盛りすぎない。
コーヒーの味を阻害しない。
そして、スイーツとして重すぎないように整える。

甘さは、前に出るためではなく、コーヒーの甘さを伸ばすためにある。
ここが面白いところで、コーヒー側で語られていた「綺麗な甘さ」の思想が、
スイーツ側にもそのまま渡されている。
だからカヌレは“単体で濃い”のではなく、一緒にいるときに完成する濃度を持つ。
口の中でコーヒーの余韻が伸びるための、静かな土台になる。

喫茶叙景文 ~白い布に、黒い文字が立つ~

白い布の前で、黒い文字がいちばんよく息をしていた。
kakyo。
濃淡をつけずに書かれた四文字が、むしろ街の音を整えていく。下北沢はいつも忙しい。視線が角を曲がるたびに別の店へ吸われ、誰かの会話が次の会話を呼ぶ。その流れの中で、ほんの一瞬だけ、呼吸がそろう場所がある。ここは、その“そろう”側に立っている。 

コーヒーの話をしているのに、言葉の中心にあるのは甘さだった。
甘さは、砂糖の話ではなく、余韻の速度の話だ。
軽くも重くもなりすぎないまま、舌の上でほどけていく。伸びていく。
そこへ、やさしいという形を与える。強い香りで記憶にフックを刺すのではなく、気づいたら戻ってきてしまうような、静かな引力で残す。

カヌレは小さな建物のように机に座る。
外側のカリっとした硬さは、噛むたびに輪郭を立てて、内側の生地の甘さがその輪郭を丸くしていく。
プレーンは“カヌレという言語”の基本文法。噛むほどに、手が止まらない。
ほうじ茶は、割った瞬間に香りが立ち上がり、甘さの奥でしっかり輪郭を保つ。
負けない香ばしさが、口の中に灯る。甘いのに、香りが勝つ。そのバランスの妙が、また次の一口を呼ぶ。

コーヒーは、どれでも合うようにしている。
その言い切りが、店の覚悟に聞こえた。浅煎りでも深煎りでも、甘さが気持ちよく立ち上がる地点がある。
そこへ連れていくために、注ぎは優しくていい、と言う。片肘を張らない。
難しいことを考えない。けれど、目線は甘さの一点から外さない。
簡単”という言葉が、ここでは軽くない。誰が入れても美味しい、という目標は、味を甘やかすことではなく、味を磨いていくことだ。

お茶も同じ場所を見ている。
コーヒーを求めて来た人が、お茶の魅力を知って帰る。
お茶を求めて来た人が、コーヒーの入口に立って帰る。
橋は、渡る人がいて初めて橋になる。架けただけでは意味がない。だから店名が“架橋”なのだと思う。
住境――心の盛り上がりが生まれる場所。その盛り上がりは、派手な音ではなく、
静かなうなずきのように訪れる。

下北沢の帰り道は、情報が多い。
けれど、今日だけは少し違う。甘さが口の奥で伸びているあいだ、街の輪郭がやわらかくなる。
白い布と黒い文字の前で、味が“やさしさ”という形を持ったことを思い出す。
それは、思い出すというより、ゆっくり戻ってくる感覚に近い。橋のたもとに、まだ香りが残っている。

店舗概要

1 住所:

東京都世田谷区代沢5-28-17 Zeebop下北沢102

2 アクセス:

下北沢エリア(徒歩圏)

3 営業時間:

基本 9:00–18:00(予定)/不定休(告知確認推奨)

4 備考:

自家焙煎コーヒー+日本茶+焼き菓子(カヌレがグランドメニュー)。オンラインにカヌレセット(冷凍便・ラッピング可)の記載あり。

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