川越コーヒーフェスティバルの会場で、黄緑色のショップカードが風に揺
れていた。
カードに印刷されたロゴは、まるで道と道が交わる記号のように見える。
名前は JUNCTION coffee roaster。
拠点は熊本。
遠くの街のロースターが、この日のために豆と器具と物語を連れてきて
いる。
最初の一杯でここを選ぶ人もいれば、飲み比べの締めに戻ってくる人も
いる。
カップを受け取った瞬間、川越の空気の中に、知らない街の朝がすっと
差し込む。
第一章|テーブルの上に並ぶ「生産者の顔」
JUNCTION のブースの前には、生産者の写真とストーリーが書かれた
カードがずらりと並ぶ。
ホンジュラス、ペルー、コロンビア……
それぞれの農園の景色が、紙の上で静かに自己紹介してくる。
白いテーブルクロスの上には、黒いスケールとドリッパー。
シンプルで機能的な道具だけが並び、余計な装飾はない。
コーヒーそのものと、その背景にいる人も前に出したい。
そんな意志が、ブース全体の空気から伝わってくる。


第二章|ゲイシャが描く、クリアな一本線
選んだのは コロンビアのゲイシャ。
イベントで飲んだ中でも、ひときわ印象に残った一杯だ。
口に含んだ瞬間、しっかりとした味の芯がまず立ち上がる。
そのあとを追いかけるように、スッとクリアな余韻が伸びていく。
派手さよりも、輪郭のはっきりした酸と、静かな甘さ。
雑味がほとんどなく、飲み終えたあとも喉の奥がきれいなまま。
「ゲイシャは香りだけじゃないんだな」と、改めて思わされる一杯。
紙コップ越しでも、豆のポテンシャルがきちんと伝わってくる。


第三章|こだわりは「水」──熊本の味をどう連れてくるか
店主が教えてくれたこだわりは、豆でも焙煎機でもなく「水」。
熊本の水はまろやかで、
「お店では、この水のおかげで、自分が出したい味にぴったり寄ってくれる」
と話していた。
しかしイベントでは、当然ながら会場の水を使う。
同じレシピでも、店で淹れたときとまったく同じ味にはならない。
「できるだけ近づけているんですけど、やっぱり満足はいってなくて……
だから、本当はお店で飲んでほしいんです」
わずかに悔しさをにじませながら、そう話してくれた。
一杯の裏側に、ここまで水質を気にかけるロースターがいる。
紙コップを両手で包みながら、
熊本の軟水と川越の水、その間にある見えない差を想像する。
喫茶叙景文 ~川越の落ち葉から、熊本の水源へ~
イベント会場の大きな木の根元で、ゲイシャを飲み終える。
足もとには、落ち葉と延長コードと、紙コップの影。
手の中のカップが空になっても、口の中にはまだ
すっきりとした甘さと、静かな香りが残っている。
黄緑色のショップカードをポケットにしまいながら思う。
いつか熊本に行ったら、JUNCTION のカウンターで同じゲイシャを飲んで
みたい。
そのときの水のまろやかさを、川越のこの一杯とどれだけ重ねられるだろ
う。
街と街、水と水が交差する場所に、また一つ「行きたい理由」が増えた日
だった。


基本情報
- 1 住所:
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熊本県熊本市中央区大江1丁目11-27 OLIVE 1F
- 2 アクセス:
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熊本市中心部・大江エリア。最寄りは市電沿線(九品寺周辺)から徒歩圏。※細かい分数は公式に明記なし
- 3 営業時間:
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平日:9:00〜18:00
土日祝:8:00〜18:00
定休日:水曜・木曜 - 4 備考:
-
スペシャルティコーヒーを中心に、生産国・農園ごとの個性を大切にしたラインナップ。
焙煎は浅煎り〜中煎りが中心で、酸の明るさと甘さのバランス、後味のクリーンさを意識している。
日常の中にコーヒーがある景色を届けたい、という思いから、
「街の人がふらっと立ち寄って一杯を楽しめるスタンド」と
「ゆっくり過ごせるカフェ」の二つの形で展開している。
店頭では試飲できる豆も用意されており、好みを相談しながら選べるスタイル。
- 5 最新情報:
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公式Instagram、オンラインストアに随時。イベント在庫まずはSNSで告知。










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