朝いちばん、一般入場列で前後になった人がいた。
コーヒーの話をしているうちに、その人がREDPOISON の常連だとわかる。
「本当は一時間くらい並ぶ店なんですよ」
そう教えられて、今日の最後の一杯はそこにしようと、まだ豆も飲み比べも
始まっていないうちから心の中で決めていた。
いくつものブースを巡り、
境内の端に黒一色のブースが見えてくる。
整然と並んだドリッパーと、グラスに伏せられた粉。
メニューには RUMJAM – Kawagoe Special 2025 の文字。
噂に聞いていたような長蛇の列はなく、むしろ驚くほどスムーズに前へ進む。
「今日は、自分が来るのを待っていてくれた日なんじゃないか」
そんな都合のいい考えが頭をよぎるくらい、足取りが軽い。
やがて順番が来て、手の中に川越限定スペシャルのカップが収まったとき、
一日の終わりが静かに形を取り始める。

第一章 REDPOISONとの偶然すぎる入口
川越コーヒーフェスティバルの一般入場列。
開場前の、まだ少し冷たい空気の中で、前後になった人となんとなく
コーヒーの話になる。
その人は、REDPOISONの話になると一気に温度が変わった。
「あそこはね、本当にすごいよ」
店主のことも、焙煎のことも、豆のことも、さらりと具体的に出てくる。
ただのファンではない。店主と顔見知りなほど通っている常連さんだと
分かるのに時間はかからなかった。
そこで決まった。
今日のラスト一杯は、REDPOISONに捧げよう。
まだブースも見ていないのに、物語だけが一歩先に進んでいく感覚だった


第二章 川越限定ブレンド「RUMJAM – Kawagoe Special 2025」
REDPOISONのブースに着くと、黒を基調にした世界が静かに鎮座してい
る。
“コーヒー=黒い液体”という固定観念を壊すようなメッセージ、
世界に一台だけのオリジナル焙煎機の写真。
今回選んだのは、もちろんあの一杯。
● RUMJAM – Kawagoe Special 2025
・2023年の発売以来、人気No.1ブレンド
・川越限定のスペシャルバージョン
・公式なフレーバーノートは
ラムレーズン/ブランデー/ピーチ/葡萄ジャム/マスカット
「オーナーおすすめ」の札が、さりげなくも強く光っていた。


第三章 香りも味も「違う」としか言えない体験
カップを受け取って、まずは香りを確かめる。
その瞬間、頭の中でスイッチが切り替わる。
「あ、いまからコーヒー飲むんじゃないな」
鼻に届くのは、焙煎香ではなくラム酒のグラスを近づけたときのあの
香り。
あるいは、洋菓子店のショーケースの奥に隠しておきたいような、
濃厚なラムレーズンの甘い気配。
一口含んだ瞬間、ただのラムレーズン味のスイーツをはるかに超える濃さ
が舌全体を包む。
アルコールは入っていないのに、心だけがふわりと酔う感じ。
感動の方が先に立って、コーヒーであることを忘れる。
そして数秒遅れて、
「あ、私いま、コーヒー飲んでたんだ」
と気づく。
その時点で、もうこの一杯は
「おいしい」か「好み」かという次元を超えている。
“体験として記憶に残るコーヒー”になってしまっている。


第四章 REDPOISONノート ― ラスト一杯にふさわしい理由
・行列で偶然出会った常連さん
その人の熱量が、REDPOISONへの期待値を一気に引き上げた。
「知らない誰かの“推し”を受け取って、自分のラスト一杯に選ぶ」という
流れ自体が、すでに物語だ。
・“ラムレーズンからコーヒーへ”の反転
最初から最後までコーヒーとしてぶれない店が多い中で、
REDPOISONのRUMJAMは、
「ラムレーズンの夢を見せてから、そっとコーヒーに着地させる」
ような一杯だった。
・イベントの核としての存在感
一日かけていろんなお店を巡ったあと、
「ここで終わりにしたい」と自然に思わせてくれる強度。
川越限定のスペシャルブレンドで締め括るラストは、
イベント全体のエンドロールのようだった。
コーヒーを飲みに行ったはずなのに、
最後の一杯で出会ったのは「味」と「人」と「物語」だった。


喫茶叙景文 ~ラムレーズンの余韻と、川越で拾った物語たち~
朝いちばん、一般列に並びながら立てた目標はシンプルだった。
「10店舗制覇」。
そこから始まった一日は、
チケットを一枚ずつ切り取っていくたびに、
どんな味に出会えるんだろう」というワクワクと、
カフェインと糖分でゆらぐ体調との、
ちょっとした綱引きでもあった。
途中で飲んだ麹ミルクのホットチョコレートは、
コーヒーの合間に差し込まれた、甘くてあたたかい休符。
自家製レモネードは、荒れかけた胃と舌を
そっとリセットしてくれるレスキュー隊。
コーヒーフェスは、味だけでなく「自分のコンディション管理」も含めて
一つの旅なのだと、
身体のほうが先に教えてくれた。
各ブースで聞いたこだわりも、脳内にしっかり刻まれている。
熊本のまろやかな水に合わせて味づくりをしている店。
水戸の町を大事に思う気持ちが、提灯の文字になって揺れていた店。
一杯のコーヒーの裏側に、
産地のストーリーやロースターの性格や街への愛情が重なって
いることを、
あらためて思い知らされるフェスだった。
そしてラストは、REDPOISONのRUMJAM – Kawagoe Special 2025。
入場前の列で、たまたま前後になった常連さんは、
「普通は一時間くらい並ぶよ」とさらっと教えてくれた。
頭の片隅にその言葉をしまい込んだまま、
すべての店を巡り終えて向かったラストブース。
そこで目にしたのは、覚悟していた行列ではなく、
拍子抜けするほど短い列。
「もしかして、この一杯は私が来るのを待っていてくれたのかもしれない」
そんな都合のいい妄想さえ許されるくらい、
するりと順番が回ってきて、
店主と少し言葉を交わしながら、静かにカップを受け取った。
ラムレーズンやジャムを思わせる濃密な香り。
「これはコーヒーじゃなくて、お酒かジュースなのでは?」と錯覚する一口目。
感動のあとに、「あ、私いまコーヒーを飲んでたんだ」と気づく逆転。
朝の偶然の出会いから、
行列が途切れた不思議なタイミング、
そして最後の一杯まで線がつながった瞬間、
この日の川越コーヒーフェスは
「10軒達成」ではなく「一つの物語の完結」に変わった。
家に帰るころには、カフェインの反動や疲れも押し寄せてきて、
ちょっとした不安も顔を出したかもしれない。
それでも、ラムレーズンの余韻と紙カップの感触は、
しばらく指先と記憶に残り続ける。
また次の街で、次のコーヒーの物語を拾いに行くために。
川越の一日は、そのためのプロローグの終わりとして、
静かにページを閉じた
基本情報
- 1 住所:
-
(本店)神奈川県座間市さがみ野2-2-20
- 2 アクセス:
-
小田急線周辺(最寄駅は公式には明記されていないが、住所から「さがみ野駅」近辺)。
住宅街の中にあるロースタリー。 - 3 営業時間
-
店舗営業は不定休。公式サイトの「schedule」に、週ごとの営業日と時間が掲載されるスタイル。
イベント出店時は店舗クローズになっていることが多いので、訪問前にスケジュール確認必須。
- 4 備考・お店の概要
-
ブランドコンセプトは 「NOT BLACK BUT RED」。
コーヒーは“黒い液体”ではなく、赤く甘い液体だという世界観を打ち出しています。オリジナル焙煎機「SOLID」
3年かけて独自開発した焙煎機。
何度も改造を重ね、よりダイナミックな焙煎コントロールを可能にした設計。
この機械で焼き上げると、嫌な酸味や苦味をそぎ落とし、果実感あふれる際立った甘さを引き出した「赤い」コーヒーになる、と説明されています。
味づくりのポリシー
「驚くほど飲みやすく、はっきりと個性が分かるスペシャルティコーヒー」。
温かい一口目から、冷めきった最後の一滴までおいしいことを目標に、日々焙煎研究を続けている。店名の由来
「納得のいく焙煎ができたときの液体の色が、決まって綺麗な赤だった」ことから
⇒ “クセになる赤=RED POISON” という名前に。











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