甘い、苦い、香ばしい。コーヒーの感想はいつもそこに着地する。
けれど BIKAS COFFEE は、そこから一歩だけ先に連れていく。
ネパールの山奥、アグロフォレストリーで育つ希少で上質な豆。その流通
を健全化し、雇用支援も含めた循環を目指して生まれたコーヒー
――そんな輪郭が、飲む前から背中を押してくる。
“おいしい”がゴールじゃない。おいしいから、世界の手触りが少し変わる。

第一章|BIKAS COFFEEの芯:山奥の豆と、循環の設計図
「BIKAS」とは、ネパール語で「発展」を意味する言葉。
それは、拡大や効率化を指す言葉ではない。
・村の中で完結する仕事
・土地に無理をさせない生産
・暮らしの延長線上にある加工
BIKAS COFFEEが目指しているのは、
“速くなること”ではなく、“続くこと”だ。
ネパール・ハルパン村。
標高1200〜1300mの土地で育つコーヒーは、これまで豆だけが価値として流通してきた。
果肉は廃棄され、発酵や水質汚染の原因になることも少なくなかった。
そこで生まれたのが、
コーヒーの実を「捨てない」ための発想だった。
BIKAS COFFEEが面白いのは、ストーリーを“飾り”にしないところ。
ネパールの奥地で育つ豆に価値があるのに、流通の弱さで正当に届きにくい
――その課題に対して、流通の健全化と雇用支援を同時に扱う設計を組み込んでいる。
そして舞台が「江戸川橋」に着地するのも良い。遠い産地の話が、ちゃんと日常の
動線に乗ってくる。“物語を飲む”ではなく、“物語が生活に混ざる”感覚。


第二章|会場(あるいは店頭)で選ぶなら:まずは“BIKASの定番”から
初手におすすめなのは、シンプルに BIKAS COFFEE(豆/粉)。
公式の紹介でも、香りの高さと、苦味が残らないすっきりした後味が
軸に置かれている。
ここで大事なのは、「軽い」ではなく「ほどける」。
雑味を削って軽くした“薄さ”じゃなく、余計な角がほどけた“透明さ”。
朝の一杯に向くのは、こういうタイプだ。

第三章|この店の“第二の主役”:コーヒーチェリーシロップ
コーヒーチェリーとは、
コーヒー豆を包んでいる果実そのもののこと。
見た目は小さなサクランボのようで、
味わいは杏を思わせるフルーティーさと、ほのかな渋みを持つ。
ただし、
この果実はとても扱いが難しい。
正しく処理されなければすぐに傷み、
そのままでは流通に向かない。
だからこそ、
長いあいだ「捨てられるもの」だった。
BIKAS COFFEEはここで立ち止まる。
「捨てられている理由」を、価値に変えられないかと。
BIKAS COFFEEで一気に世界線が変わるのが、コーヒーチェリー。
コーヒー豆は、果実(チェリー)の“種”にあたる。その果肉や果皮に、
香りと甘酸っぱさが眠っている
その魅力をぎゅっと閉じ込めたのが コーヒーチェリーシロップ。
体感としては 「メープルみたい」 な使い方ができるのが良いところ。
甘さが前に出るだけじゃなく、果実の酸と香りの影がついてくるから、
お菓子にも料理にも“奥行き”が出る。
—— メイプルシロップを思い浮かべてみる
このコーヒーチェリーを、
BIKAS COFFEEはシロップという形にした。

ここで一度、イメージを借りたい。
それはメイプルシロップだ。
・そのまま舐めてもいい
・料理に少し足してもいい
・飲み物に混ぜてもいい
「主役にも、脇役にもなれる甘さ」。
コーヒーチェリーシロップも、立ち位置はよく似ている。
甘味はあるが、強すぎない。
香りはあるが、支配しない。
低カフェインで、ポリフェノールを含む。
体に負担をかけにくい設計も、
“毎日の中に入る調味料”として考えられている証だ。
—— 杏と、ほうじ茶のあいだ
ひと口含むと、
最初に立ち上がるのは杏のようなフルーティーさ。
そのあと、
喉の奥に残るのは、ほうじ茶を思わせる香ばしさ。
甘い。
けれど、砂糖の甘さではない。
余韻が長く、引きずらない。
このバランスが、
料理にも飲み物にも使える理由になる。

第4章 家での再現TIP|チェリーシロップの“効かせ方”レシピ
BIKAS COFFEEの面白さは、
「正解の飲み方」を決めていないところにある。
実際に提案されている使い方は、どれも生活に近い。
・焼きりんご/ベイクドアップル:仕上げにひと回し。酸と甘みで“香りの余韻”が伸びる
・チキン(ロースト/ソテー):照り用の甘味として少量。香ばしさに果実が混ざって格が上がる
・赤ワイン/ホットワイン:スパイスの代わりに“果実感”を足す発想
・豆乳割り:甘いのに軽い、香りが残る(朝向き)
・レモン+炭酸:これが“クラフトコーラっぽい”方向に寄せられて面白い
「甘くする」より「香りの影を足す」つもりで、少量から。
第五章 ペアリング|甘い系・濃い系の“主役”と組ませる
・濃厚チョコ(ブラウニー/ダークチョコ) × チェリーシロップ
:苦味に果実が刺さって、輪郭が立つ
・チーズケーキ × BIKASの豆
:ミルキーさを後味の透明感が洗う
・香ばしいエクレア(ナッツ系) × BIKASの豆
:香ばしさ同士が喧嘩せず、長い余韻にまとまる
第六章|農家の声が、商品になるまで
BIKAS COFFEEの活動は、
商品を作って終わりではない。
現地の農家の声を拾い、
工程を開き、
どう使われているかを共有する。
「廃棄されていた果実が、
誰かの台所に届いている」
この実感が、
農家の仕事を“続けられるもの”に変えていく。
収入は増え、
村の中に新しい役割が生まれる。
静かだが、確かな変化だ。

第七章|今後の展望
—— 広げるのではなく、深めていく
BIKAS COFFEEは、
急激な拡大を目指していない。
・植樹プロジェクト
・コーヒーの木を「育てる側」に立つこと
・シロップ以外の果実活用の可能性
どれも、時間のかかる取り組みだ。
けれど、
このプロジェクトには無理がない。
「コーヒーを売る」のではなく、
コーヒーのある暮らしを、少しずつ増やす。
その速度感が、
このシロップの味と、よく似ている。
喫茶叙景文 ~“美味しい”の先にある「面白さ」を、ちゃんと飲む~
江戸川橋の空気は、昼と夜の境目が柔らかい。川の流れが速度を決め、
街はそれに合わせて呼吸する。
扉の向こうにあるのは、派手な演出じゃない。遠い山奥の時間が、
こちらの生活に混ざるための、静かな装置だ。
カップを口に運ぶまでのわずかなあいだ、ネパールの山肌に差す光を想像する。
木々の影が地面の温度を守り、果実が熟し、種が乾き、誰かの手がそれを選ぶ。
その全部が、ただの「ストーリー」なら飲めない。けれどこれは、手触りのある循環だ。
飲む側のこちらにも、ちゃんと役割が回ってくる。
一口目は香りが先に立つ。二口目で、苦味が“残らない”意味がわかる。
後味が消えるのではなく、角が落ちて、透明にほどける。
そこへ、コーヒーチェリーの甘酸っぱさが差し込むと、世界が少しだけ可笑しくなる。
コーヒーは豆だけじゃない。果実の影まで含めて、飲み物なんだと気づかされる。
帰り道、手のひらに残るのは温度じゃない。
「美味しい」の先にある「面白さ」――その言葉が、街の息と同じリズムで、
静かに反芻される。
店舗概要
- 1 住所:
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〒112-0014 東京都文京区関口1-23-6 プラザ江戸川橋112
- 2 アクセス:
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江戸川橋エリア(詳細は公式導線参照)
- 3 営業時間:
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営業時間:平日 8:00–17:00/週末・祝日 9:00–18:00
- 4 備考:
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オンラインストアあり。最新営業・出店はSNSも要確認(Instagram:@_bikascoffee
- 5公式リンク:










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