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ベリーのジャム、ダージリンの静けさ|nano-coffeeroasterのドリップパック案内

nano-coffeeroasterは、その瞬間を狙い撃つようにエチオピアだけを焙る。
産地を広げる代わりに、同じ国の中のテロワール(育った土地の個性)と、
精製(つくり方)の差分を掘り下げていくスタイルだ。

一杯のなかに「花」「果実」「発酵」「紅茶」が同居すると、日常のテンポがひとつ落ちる。

展示会場の喧騒から一歩戻ると、そこには不思議と「静かなブース」があった。
派手な装飾も、声を張る呼び込みもない。

けれど、テーブルに並ぶ袋や瓶、紙に書かれた説明文が、ゆっくり読む人の速度を前提に置いている。
nano-coffeeroaster。
エチオピアコーヒー専門の焙煎所。

ここは、
コーヒーを「分かりやすく説明する」場所ではなく、
味わう時間そのものを信じているブースだった。

第一章|nano-coffeeroasterという店の骨格

nano-coffeeroasterは、エチオピア産スペシャルティに特化したロースター。
清澄白河に拠点(ワークショップ)を置きつつ、豆の販売を軸に活動している
と案内されている。

特徴的なのは、豆の扱いの“手つき”が言葉として明確なこと。
長くコーヒーに携わってきたこと、ハンドピック(欠点豆を手で取り除く)を重ねること、
そして焙煎機(Behmor)で直火焙煎を行うことが、店の説明の中心に置かれている。

販売形態も現代的で、オンライン(BASE)に加え、マルシェ等の出店も案内されている。
さらに、コーヒー豆だけでなくドリップパック、水出し、
リキッドなどカテゴリを分けて展開しており、入口の選択肢が多い。

第二章|「エチオピアだけ」という偏愛が、選びやすさになる

nano-coffeeroasterが掲げている言葉に、
「私たちの扱う豆にはストーリーがある」という一文がある。

それは、物語を盛る、という意味ではない。
むしろ逆で、
余計な装飾を削ぎ落とした先に残る“事実”を、丁寧に拾い上げるという姿勢だ。

エチオピアは、コーヒー発祥の地。
同時に、いまもなお小さな農園が多く、
世界的には知られていない生産者が数多く存在する土地でもある。

nano-coffeeroasterが向き合っているのは、そうしたマイクロロット、
日本では流通量の少ない豆たちだ。

焙煎は小ロット。
ハンドピックで状態を見極め、直火で焼き、焼きたての鮮度を保ったまま届ける。

けれど、この店のこだわりは「技術を見せること」ではない。
自らも一人のコーヒーユーザーであるという視点に立ち、
「どうすれば、家で、無理なく、気持ちよく飲めるか」を考える。

だからこそ、
ゲイシャであっても尖らせすぎない。
抽出温度が高めでも、味は急がせない。
飲み手が、自分の速度に戻れるように
この思想が、
あの“ゆっくりほどける味”につながっている。

産地を一点に絞るのは、情報量を削る行為に見える。けれど実際は逆で、
比較の軸が立つぶん、飲み手は迷いにくくなる。
とくにエチオピアは、同じ国の中でも香りの方向が大きく揺れる。
フローラルに振れる日もあれば、ベリーの果肉が前に出る日もあるし、
発酵のニュアンスが“酒”の方へ寄ることもある。

nano-coffeeroasterの導線は、その揺れを「製法違い」「ロット違い」と
して見せる設計になっている。たとえばドリップパックのアソートでは、
アナエロビック/ナチュラル/ウォッシュドの違いを一箱で追えるように組んでいる。
「コーヒーを選ぶ」が「味の地図を読む」に変わる瞬間がある

第三章|三つの製法、三つの“余韻の形”

ここからは、nano-coffeeroasterの説明文を手がかりに、味のイメージを“章として”立てる。

1)アナエロビック|ゴワチョ:発酵の甘さが、赤ワインのように残る

アナエロビック精製の代表として紹介されているのが“ゴワチョ”
ベリー系リキュールや赤ワイン、サングリアを連想させ、
発酵感・甘さ・クリーンさがまとまった上品さ、とされる。
さらに“赤ブドウ酒のような発酵感”“ジャムのような粘性”という比喩が強い。
このタイプは、抽出を鋭くしすぎると発酵の輪郭が暴れやすい。
湯温を落とす・攪拌を控えるなど、“整える抽出”が似合う。

ペアリングの方向性
ダークチョコ/ブラウニー、カカオ強めの焼き菓子。甘さの重心が低いものが、
発酵の甘みを引き立てる(ワイン的な余韻と並走する)。

2)ナチュラル|アリーチャ:いちごの甘酸っぱさと、紅茶のさらり
一番人気として挙げられているのが“イルガチェフェ・アリーチャ・ナチュラル”
果実感のある甘さ、ベリー系、いちごを思わせる優しい甘みと酸味、
苦みを抑えた“紅茶のようにさらり”という方向性で紹介されている。

朝に置くならこの系統。体を起こす酸の明るさがありながら、角が立ちにくい。

ペアリングの方向性
チーズケーキ、バターの香りがある焼き菓子。果実の酸と乳脂肪が、
いちごミルク的な丸みをつくる。

3)ウォッシュド|コンガ:湿地が育てる紅茶感、ダージリンの余韻
もう一方の軸として紹介されているのが“イルガチェフェ・コンガ・ウォッシュド”。
湿地由来の“紅茶のような複雑さ”、スイートチョコの熟成した甘さ、
ピーチやオレンジの香り、冷めるほどダージリンのようなコクと余韻がはっきりする、とされる。
温度変化で味がほどけるタイプなので、急いで飲まない方がいい。カップの中で時間が働く。

第四章|ペアリング,甘さの設計図を、コーヒー側から描く

ゴワチョ(アナエロビック) × ダークチョコ/ブラウニー
:(赤ワイン的な余韻とカカオが重なる)

アリーチャ(ナチュラル) × チーズケーキ
:(果実の酸に乳脂肪が寄り添う)

コンガ(ウォッシュド) × 柑橘系の焼き菓子
:(ピーチ/オレンジの香りを延長する)

喫茶叙景文 ~高架下で、時間が少し緩む~

昼と夜の境目が薄い季節、街はまだ起ききらない声で呼吸している。
カーテンの隙間から入る光は白く、湯気はそれを少し曇らせる。
湯を沸かす音だけが部屋の輪郭を確かめて、キッチンの片隅で時間が小さく鳴る。

袋を開けると、まず花が来る。花は音もなく、しかし確実に、
部屋の空気を別の土地へ連れていく。次に果実の赤が、そして紅茶の影が遅れてついてくる。
香りはただ“良い”のではなく、複数の層が順番に現れては消え、
消えたはずの層がもう一度戻ってくる。

注ぎは急がない。最初の30gが粉を起こし、湿った香りが立ち上がる。
その瞬間だけ、コーヒーは飲み物というより“出来事”に近い。次の40gで線が整い、
70gで果実の体温が広がって、最後の40gが余韻の出口を作る。
カップの中で世界が完成するのではなく、完成の手前で最も美しい形を取る。

口に含むと、甘さが先に言葉を置く。酸は鋭さではなく、明るさとして現れる。
冷めてくるほどに、紅茶のような深みがカップの底から浮かび上がり、
ダージリンの余白が静かに長く続く。発酵の豆なら、赤ワインのような気配が舌の奥に灯って、
ジャムの粘性がふっと消えるまでを見届けたくなる。

窓の外は相変わらず日常で、郵便受けの音や、遠い車の気配が途切れ途切れに聞こえる。
けれどカップの内側だけは、花と果実と影が、それぞれの速度で歩いている。
飲み終えても、手のひらには温度が残り、香りだけが遅れて帰ってくる。静かな祝祭は、
そういうふうに後から効く。

店舗概要

1 住所:

東京都台東区浅草橋1-17-4

2 アクセス:

JR浅草橋駅 高架下 徒歩1分
都営浅草線 浅草橋駅 徒歩1分

3 営業時間:

・営業時間:10:00〜18:00、
・定休日:火・水・木。

4 備考:

・エチオピアコーヒー専門
・焙煎所 兼 コーヒースタンド
・定休日:水曜・日曜
・ドリップパック/リキッド/生はちみつ等の展開あり

5公式リンク:
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