朝霞市博物館のすぐ近く。
その一角に、まるで”庭の中にあるもうひとつのリビング”のような場所が
あります。
「栗原倶楽部」
昼はカレーやスイーツを楽しめるカフェ、夜は焼き鳥とお酒を囲む居酒屋。
季節の花が咲く庭には、ワンちゃんたちの笑い声が響きます。
お店を営むのは、以前「カフェ・レイ」や居酒屋「小江戸」を手がけていたご夫婦。
コロナ禍を機に、ふたつのお店を自宅の一角に統合し、「栗原倶楽部」と
して生まれ変わりました。
「うちにきて癒されてください」
その言葉通り、グリーンに囲まれた空間と、手づくりの料理が心と体を
やさしく包み込みます。
第一章 はじまりは、コロナ禍の転機から
「夜は居酒屋、昼はカフェ」。
いまの栗原倶楽部のかたちは、実はコロナ禍をきっかけに生まれました。
ご夫婦はもともと、昼はカフェ・レイ、夜は小江戸という居酒屋を別々に
運営していました。ところが、2020年以前後の外食制限で「お酒が出せない」
状況に直面。さらにご家族の事情も重なり、思い切って自宅の一角へ拠点を一本化
する決断をされたそうです。
「 お酒が出せなくなって…それで昼夜、全部こちらへ。
夜は17時から”居酒屋”、昼は”カフェ”にしたんです。」
そうして生まれ変わったのが…「栗原倶楽部」。
昼はスパイス香るカレーや日替わり定食、夜は焼き鳥を中心にした一品と
お酒。時間帯で表情を切り替える”二毛作”スタイルは、地域の暮らしにすっと
溶け込み、常連さんの足を自然とここへ向けさせます。
カウンター越しに交わされる「おかえりなさい」の一言、庭へ抜ける風、
ワンちゃんの足音。
逆境から再スタートだったはずが、気づけばかえって来られる場所が出来上がった
ていました。
ここから物語は、店名の由来と庭づくりへーー。


第二章 ”栗原倶楽部”という名前に込めたこと
屋号は、暮らしのリズムと一緒に変わってきました。
かつて昼は「カフェ・レイ」と居酒屋「小江戸」。二つの看板で歩んでき
た時間を、自宅の一角に拠点をまとめたときーーご夫婦はその記憶を
“ひとつ”に束ねました。
「 前は「カフェ」と「居酒屋」をやっていたので。
ふたつをくっつけて、自宅の”栗原”を冠にーー栗原倶楽部にしようって。」
倶楽部(クラブ)という言葉を選んだのは、「集う場所」でありたいから。
昼はカレーやコーヒーを、夜は焼き鳥やお酒(希望があればコーヒーも飲めるそうです)を
常連さんはワンちゃんも連れも、季節の庭に誘われるように集まってくるーーそんな
“会員証のいらないクラブ”のイメージです。
「カフェ」と「居酒屋」、二つの店が積み重ねた時間への敬意であり、”昼と夜、どちらの記憶
も受け継ぐ場所”という宣言でもあります。
名前が変わっても、ここに流れる温度は同じ。帰って来れば、いつもの席
と、いつもの声が待っています。


第三章 庭とドッグラン ー 花の季節、犬たちの時間
栗原倶楽部の”もう一つの主役”は、店の奥へ広がる庭です。
テーブルを出してコーヒーを楽しむのも良し、ドッグランでワンちゃんと
駆け回るも良し。ここでは時間が少しゆっくりと流れます。
「ワンちゃんが庭で遊んでくれるんで、うちらも癒されるんです。」
店内は落ち着いていて座れ座席を抑え、ペット同伴以外の方は主に店内、
コーヒーだけの方やペット連れのの方は庭側へーーそんな使い分けが自然に
機能しています。日曜には一度に十数頭(最大で14匹ほど)が集まることも。
「この辺で”遊ばせられる所”が少ないから」と板橋・練馬・浦和・川越など、
遠方からスマホ検索で見つけて来店する方も増えているそうです。
季節の表情も豊か。早春は河津桜から染井吉野へと」色が移ろい、庭を背景
に写真を撮る常連さんの姿も秋は控えめな紅葉が差し色になり、温かな外灯と
相まって、夕暮れのカップが似合う景色になります。
ドッグランの具体的な利用マナーや席の案内は当日のスタッフに一言。
無理のない範囲で”みんなが気持ちよく過ごせる庭”を守る。ーーそれが、
栗原倶楽部の静かな約束です。


第四章 カレーと季節の料理 - 畑からテーブルへ
栗原倶楽部の昼の主役は、香り立つスパイスカレーです。
オープン当初はやや甘めの仕立てでしたが、常連さんの声を受けて今は
ほどよい辛さへ。一口ごとに食欲が進み、思わずご飯が進む日常にちょうど
いいバランスに落ち着きました。
「 最初は甘いかなって言われてね。もう少しスパイスで辛さを効かせるよう
にしました」
ランチはカレー+日替わり2品の構成。もう2品は、その日の仕入れや気分で
組み合わせを変えるスタイルです。
材料には、自宅の裏畑で採れる野菜をできるだけ使用。秋ならナスやカボチャが皿を彩り、
採れない時季は無理せず上手に市場と付き合います。
家庭の温度感に居酒屋の仕込みの手際が重なって、肩肘張らずに楽しめる味に仕上がっています。
夜は看板の焼き鳥を中心に、庭の野菜を活かした小鉢がテーブルを支えます。
昼はほっとする定食、夜は一日の力を抜く酒場ーー同じ台所から生まれる二つの顔が、
この店の魅力です。

第五章 コーヒーの一杯 - 手遅れの記憶と、いまの最適解
かつての栗原倶楽部はハンドドリップが基本でした。
豆を挽き、中心にそっとお湯を落としてふわっと“蒸らし“を待つーー湯温と
時間に向き合う、小さな儀式のような淹れ方です。抽出は一貫してカリタ式。
手をかけたぶんだけ、香りも余韻も豊かに感じられる。店にとって忘れがたい
時間でした。
一方で、昼はランチで一杯ずつ手淹れでは間に合わないことが増えました。
そこで今は一度に9杯ほど(状況によりもっと)抽出できる業務用マシンを導入。
ここでも方式はカリタ式を採用しハンドドリップ時代の味わいの方向性を保ち
ながら、供給と安定とスピードを両立させています。
「 忙しい時間はマシンで安定供給。
でも、夜に”手で入れてほしい”って言われたら、もちろんやりますよ。」


豆は近隣の豆店を中心に仕入れ、ブレンドは”毎日飲める飲みやすさ”が軸。
ホットは軽やか、アイスはやや深めでコクを意識。豆価の変動とも向き合いな
がら、無理なく続けられる選び方を心がけています。
強い”こだわり”を声高に語るより、ここで過ごす時間に寄り添う飲みやすい
一杯を。
庭の風や季節の花を眺めながらカップを置くーーその瞬間まで含めて、
栗原倶楽部のコーヒーです。

最後に 庭に風が通り抜ける
午後の光がテーブルにやわらかい輪を落とし、
庭ではワンちゃんの足音が草を撫でていきます。
カップの縁から立つ湯気に、スパイスの香りがほのかに重なるーー
ここは肩の力が静かに抜けていく場所です。
やがて夕暮れ。外灯がともり、木々の影が長くなる頃、
焼き鳥の煙が細い線を描き、笑い声が低く溶けてゆく。
店内ではカウンターの木目が温度を帯び、
“いつもの席”に手が自然とのびる。
春は河津桜から染井吉野へ、
夏は深い緑、秋は控えめな紅ーー季節は音もなく入れ替わるけれど、
栗原倶楽部の時だけは、いつも変わらずゆっくりです。
「うちに来て癒されてください」
その言葉の通り、ここは目的地ではなく”帰る場所”。
扉を押せば、今日の風景があなたのために用意されています。
店舗概要
- 1住所:
-
埼玉県朝霞市岡2-8-74 (朝霞市博物館のすぐ近く)
- 2アクセス:
-
東武東上線「朝霞台」徒歩20分
- 3営業日:
-
木~日 11:30~15:00/17:00~21:00(月~水:定休日)
- 4特徴:
-
ご自宅の敷地内でお店をされています。また、博物館からの寄り道カフェ












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