2026年– date –
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喫茶録
土曜日の余韻が、平日へ滲む|andsaturday coffee & cakes
風が強い日ほど、コーヒーの香りは遠くまで届く。テントの白い天井に貼られたカードが目に入った。Pear, berry, chocolate。Melon, Vanilla。そして、Cranberry, Orange。フレーバーは説明ではなく、入口だ。舌の行き先を先に示してくれる。台の上には、豆... -
喫茶録
浅煎りの“輪郭”を持ち帰る|STORY BOX & coffee roaster
開場の空気は、香りを運ぶ速度だけが早い。テントの端で、ミントグリーンのドリッパーが並び、ライトボックスには大きく「ONLY LIGHT ROAST」。その宣言は、軽さの誇示ではなく、日常の呼吸を整えるための方針のように見えた。 “浅煎りは、味の主張ではな... -
喫茶録
厚木から、世界へ——甘みの座標を手渡す珈琲|厚木珈琲
冬の空気は、香りを遠くまで運ぶ。湯気の立つテントの中、抽出の音だけが薄く残り、コーヒーは「飲み物」より先に「空間」になる。厚木珈琲のブースに立つと、まず“説明”が過剰ではない。代わりに置かれているのが 地図。好みを言葉で詰めず、座標に置き換... -
喫茶録
砂糖のない甘さへ、湯温を落とす|ザ・コーヒーショップ(THE COFFEESHOP)
イベント会場の空気は、いつも少し急いでいる。人の流れ、紙カップの手触り、風の冷たさ。情報が多い場所ほど、味の記憶は薄くなりやすい。 けれど、このブースは黒が多い。布も、袋も、抽出の器具も。黒が光を吸って、余計なものを消していく。残るのは、... -
喫茶録
酸の輪郭、甘さの影|SPECIALTY COFFEE BEANS No.13(横須賀・衣笠)
白いテントの中は、光が均一で、影が少ない。均一だからこそ、道具の形がよく見える。湯の落ち方がよく見える。手の迷いがよく見える。 黒いドリッパーが三つ並び、紙カップが積まれ、カードが整列している。視界のノイズが少ない。布には SPECIALTY COFFE... -
喫茶録
甘さを焙煎で彫り出す|ALL SEASONS COFFEE(神奈川)
人の流れが速い場所ほど、コーヒーは「飲み物」に戻されがちだ。買って、受け取って、歩きながら飲んで、忘れていく。 でもALL SEASONS COFFEEの前だけ、足が一拍ぶん遅くなる。黒いバッグ、色の違うラベル、木箱に並ぶドリップバッグ。お菓子の籠がちゃん... -
道具・グッズ
砂糖の向こうに、畑の匂いがする|アトリエ・シュクレ(大泉学園)
大通りの音が薄くなっていく方へ、曲がるたびに空が広くなる。看板は大きく主張しないのに、そこだけ“甘い空気が通る道”になっていて、足が自然にゆっくりになる。 お店の前に出ている案内には、「米粉シフォンケーキ、焼菓子を販売しています」。 そして... -
喫茶録
cafe LANI──住宅街に根を張る小さなハワイ
住宅街の朝は、音が少ない。自転車のブレーキがひとつ鳴って、角を曲がると、白い壁の内側に、やわらかな色が灯っている。 ここは 大泉学園 の、生活の速度に合わせて呼吸している店。派手な演出ではなく、日々の「いつもの」を、少しだけ気持ちよくしてく... -
日記・巡礼メモ
街の息を揃えるあいだ(HandMade In Japan Fes〈HMJ〉2026冬)
東京ビッグサイトの西ホールへ向かう動線は、朝の光と一緒にゆっくり膨らんでいった。入口付近の大きなサイン、足元に反射する床の冷たさ、そこを埋める人の流れ。ハンドメイドのイベントは、作品そのものより先に「作り手の時間」が空気に滲む。今日は“買... -
道具・グッズ
HMJで見つけた、夜に似合うマグ|sureliyの陶器がくれる静けさ
人の波のなかで、ふっと足が止まる場所がある。それは派手な色でも、大きな声でもなくて、白の静けさで呼び止める。 小さなランプの灯りの隣に、ゆるやかな曲線の器たち。sureliy――“陶器のお店”と書かれたボードが、会場のざわめきに薄い膜を張っていた。...