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犬と子どもと大人が交差する、住宅街の小さな広場 志木「cafeらふ」

 志木駅から離れた住宅街の一角に、「cafeらふ」はある。
駅前のカフェにあるような”回転率”の気配はなく、ドアを開けると、まず
「ただいま」と言いたくなるような、柔らかい空気が広がる。

 テーブルにはランチのメニュー、壁には地域のチラシや作家さんのカード。
奥のスペースには、おもちゃや絵本、そしてワンちゃんの写真。
ここは「コーヒーを飲む場所」である前に、「人が話すための場所」として
用意されたカフェだとすぐにわかる。

第一章  教室じゃないのに、教室みたいなカフェ

 店主はもともと学校の先生だった。
「街の人が勉強したり、誰かの話を聞いたりできる”広場“を作りたい」
その思いから、街づくりや場所づくりの講座を受講し、「一人でもふらっ
と入れる場所をつくろう」と決めたという。

 最初から”犬カフェ”を目指していたわけではない。
あくまでも「コミュニティカフェ」という土台があって、そのうえで自分
が犬好きだから、アレルギーの人にも配慮しながら時間帯を区切ってワン
ちゃんOKにした、という順番だ。

 学校の勉強についていけない子が算数ドリルを持ってきたり、
お子さんの心配をするお母さんが相談しに来たり。ときには、
居合わせた元塾講師のお客さんが一緒に教えてくれることもある。

 ここでは誰かが一方的に”教える“のではなく、居合わせた人たちが自然に
手を貸し合う。
 「広場でもあり教室」と感じられるカフェだ。

第二章 街のリクエストから育ったランチとソフトクリーム

 オープン当初のメニューは、ケーキとお茶だけでだった。
人に出せるほど料理に自信がなかったから」と店主は笑う。


 けれど通ううちに、常連さんたちは遠慮なくリクエストをくれる。
ここでランチも食べたいな
ハンバーグとかカレーがあったらうれしい
そうして生まれたのが、今や看板メニューになっている煮込みハンバーグと
カレーだ。

 お子さんを育ててきた”がっつり家庭ごはん“の経験が、そのままお皿の上
に移されている。
 煮込みハンバーグは冬になるとチーズをのせてオーブンで焼き、ドリア風
にアレンジ。
 キーマカレーやバターチキンカレーも市販のルウには頼らず、一から手づく
りしている。


 「ピザも食べたい」という声には、生地から自家製で応えた。
冷凍生地を仕入れる案もあったが、在庫管理より”焼きたてのおいしさ“を選
んだ結果だ。
素材は出来るだけ素直なものを使い、冷凍しておけるものは丁寧に仕込んで
おく。

 甘いもの好きの心を掴んでいるのがソフトクリームのメニュー。
専門メーカーに相談しながら選んだベースを使い、フロートにしたり、
チョコソースやイチゴソースをかけたりとシンプルなバニラをさまざまな
表情に変えていく。


厚い日も寒い日も、子どもから大人までつい注文してしまう一品で、とき
どきわんにも少しだけ”おすそ分け“されている。

第三章 小さなマルシェとしての「らふ」

 店内の壁や棚には、焼き菓子やワンちゃん用のグッズ、ハンドメイドの
作品が並ぶ。
それらは店主が仕入れている”商品”というより、小さなマルシェの出展者
たちだ。

 「お店を持つほどではないけれど、自分のお菓子や作品を誰かに届けたい
 そんな人たちに場を貸し、店主自身が主役になるのではなく、
がんばっている誰かを応援する壁になっている感じです」という考えから
始まった。

 結果として、焼き菓子を目当てに訪れた人がカフェでお茶をして、
常連さんが新しい作家さんの作品を手に取る。
その小さな循環が、街の暮らしとカフェをやわらかく結びつけている。

第四章 コーヒーは、話を聞くための相棒

 cafeらふのコーヒーは、コーヒー専門店のようなストイックさよりも、
誰が飲んでもちゃんとおいしい」に軸足を置いている。

 豆はネットでいくつも試したうえで、
値段を上げすぎず、幅広い人に受け入れられる味わいのものを選んでいる。
深煎りでも浅煎りでもなく、”飲みやすさ“を大事にしたバランス型。
抽出には、豆の挽き具合や水の状態を細かく調節できる全自動マシンを導入
し、大ぶりのカップにたっぷり二杯分ほどを注ぐ。

 常連さんの中には、コーヒー一杯がお供に30分、1時間と店主と話し込んで
帰る人も多い。

 コーヒー豆にまつわる薀蓄よりも、
ここで誰かと話せた」「一人じゃなかった」と感じてもらえること。
そのための一杯として、らふのコーヒーはテーブルに並んでいる。

喫茶叙景文 ~一人ぼっちが、誰もいない店~

 夕方の店内に、算数ドリルを開く子どもの鉛筆の音だ響く。
カウンターの向こうでは、料理が作られる心地の良い音。
キッチンタイマーの軽い電子音が合図のように鳴る。

 窓際のテーブルには
ここのソフトクリーム、つい頼んじゃうのよね」と笑う人がいて、
足元では、小さな犬が尻尾をゆっくり振りながら、その声を聞いて
いる。
 
 隣り合った知らない同士が、
それ、おいしそうですね」「その本、どこで買ったんですか
と当たり前のように話しかけ合う。
 ファミレスでは決して起こらない会話が、ここでは日常の
一部になっている。

 駅前の喧騒から少しだけ離れた住宅街で、
cafeらふは今日も誰かの「話したい」と「聞いてほしい」を受け止めて
いる。
一人で来たはずなのに、一人ぼっちのまま帰る人がいないような、
そんな不思議な教室の灯りが、夜までやわらかく灯り続けている。

基本情報

1住所:

埼玉県志木市下宗岡2-9-1

2アクセス:

東武東上線「志木」駅からバス利用、「宗岡」バス停下車し
徒歩約4分前後 / 志木駅から約2kmほどの住宅街エリア。

3営業時間:

平日:11:30-14:00 / 15:00 -18:00
土-日:12:00-17:00
定休日:月・火 曜日

4備考:
  • 2022年 11月にオープンのコミュニティカフェ。
  • 午後はワンちゃんと同伴可能の時間あり。
  • ランチ(煮込みハンバーグ・カレー・ピザなど)からソフトクリーム、
    デザートセットまでメニューが充実。
  • 店内の一部スペースは、焼き菓子作家さんや犬グッズ作家さんなどの
    小さなマルシェスペースとして活用。
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