境内の土の上に、いくつものコーヒーの列がのびている。
その中でひとつだけ、カップから立ちのぼる香りが少し違うブースがある。
黒い看板には、白い文字で 「Mörk」。
並んでいるのはドリップポットではなく、紙筒のパッケージとホット
チョコレートの写真。
列の先では、ミルクパンの中でカカオが静かに溶けていく。
この一杯はたぶん、今日の「コーヒー巡礼」の番外編になる。
そう思いながら、麹ミルクのホットチョコレートを注文する。
第一章|メルボルン発スペシャルティ・ホットチョコレート
店名: Mörk chocolate(モーク・チョコレート)
業態: スペシャルティ・ホットチョコレートとカカオ製品のブランド
拠点: オーストラリア・メルボルン(ノースメルボルンに Mörk Chocolate Brew House を構える)
特徴:
- スペシャルティコーヒーの考え方を取り入れた、カカオ版ロースタリーのような存在
- 産地や生産者の背景が追えるカカオ豆を選び、ブレンドやローストでキャラクターを引き出す
- 原材料は、カカオ、砂糖、ミルクなどシンプルなものに絞り、余計な香料や添加物に頼らない方針
商品:
カカオ濃度の違うホットチョコレートパウダー
シングルオリジンのカカオを使ったブレンド
トートバッグなどのオリジナルグッズ
川越のブースには、クラフト紙の筒状パッケージがずらりと並び、手前に
ホットチョコレートのメニュー。
コーヒーの列に囲まれながら、ここだけが小さな「チョコレートスタンド」
になっている。


第二章|麹ミルクが包む、カカオ85%のやさしい顔
選んだのは、麹ミルクのホットチョコレート。
ベースになっているのはカカオ 85% のブレンド。
数字だけ見るとかなりビター寄りだが、実際のカップから伝わる印象はまったく
別の顔をしている。
ひと口目、先に届くのは 麹のやわらかな甘み。
角のない丸い甘さが、カカオのほろ苦さをふわりと包んでいく。
・「苦味」よりも先に、やさしい甘味と穏やかなコクが舌に残る
・口当たりはとろりとしたまったり系で、舌の上をゆっくり流れていく
・飲み込んだあとに、じんわりとカカオの香りだけが静かに残る
カカオ85%でありがちな「キリッとしたストイックさ」が、麹ミルク
によってうまく和らいでいる。
数字上はハイカカオなのに、体験としては 「夜の前の、一息つく夕方の甘さ」
くらいのトーンに落ち着く。


第三章|紙筒とトートバッグ、光るオーツミルクの列
ブースの前には、いくつか印象的なものが並んでいる。
・ラベルカラーの違う 紙筒パッケージ
ブラック、ボルドー、グリーン……カカオ濃度やブレンドごとに色
が分かれ、
並んでいる姿がそのまま「カカオのパレット」みたいに見える
・大きくロゴが入った トートバッグ
ひとつ持ち帰れば、ただの「お土産」ではなく、
メルボルンの空気ごと鞄に入るような感覚になりそうなデザイン
・ミルクコーナーには、
Minor Figures のオーツミルク
麹ミルク KOJI BARISTA EDITION
が仲良く並び、どのホットチョコレートも「ベースのミルクから設計されている」
ことが伝わってくる
紙コップに描かれた Mörk のロゴも、カカオの匂いといっしょに手の中で温まって
いく。
この一杯は、コーヒーではないけれど、今日の巡礼に確かに必要だった寄り道
だと感じる瞬間だ


喫茶叙景文 ~コーヒー巡礼の真ん中に置いておくカカオの一杯~
カカオ85%と聞いて身構えていた舌が、麹ミルクの甘みに肩の力を抜かれ
ていく。
境内の地面は冷たいのに、指先だけは紙カップ越しにじんわりと温まる。
周りでは、ハンドドリップの湯気とグラインダーの音が途切れなく続いて
いる。
そのざわめきの中で、カップの中だけが少しだけゆっくり時間が進んでいる
場所になる。
この一杯は、今日飲んだどのコーヒーとも競わない。
代わりに、間にそっと置かれて、他のコーヒーの記憶をやわらかくつなぎ直し
てくれる。
川越の冬の空気と、麹ミルクの甘さと、カカオ85%の余韻。
その三つをまとめてポケットに入れて、次のロースターの列へ歩き出す。
コーヒー巡礼の途中に見つけた、小さな「カカオの寄り道」として。

基本情報
基本情報
店名: Mörk Chocolate(モーク・チョコレート)
業態: スペシャルティホットチョコレート/チョコレート専門ブランド
拠点: オーストラリア・ビクトリア州メルボルン(ノースメルボルン)
展開:
自社カフェ兼ロースタリー:**Mörk Chocolate Brew House(ノースメルボルン)**
ショップ:Mörk Chocolate City(メルボルンCBD)、Queen Victoria Market 店、Looking Glass(Centre Place)、Journey Chadstone など複数店舗展開
オンラインショップ・卸販売(カフェ等へのホットチョコレート供給
2. コンセプト・チョコレートづくりの考え方
メルボルンのスペシャルティコーヒーカルチャーにインスパイアされた、スペシャルティホットチョコレート専門ブランド。
2012年に、スペシャルティコーヒーと同じアプローチで、トレーサビリティ(産地追跡性)と素材の質・個性を重視したホットチョコレートブレンドを開発したのが始まり。
「フェアトレード」のラベルよりも、
どの農園・生産者から、どのようなプロセスで仕入れているか、
を自分たちで把握し、直接取引することを重視している。
原材料は
カカオパウダー
100%カカオのブロックチョコレート
オーガニックのココナッツシュガー など、シンプルで自然な素材のみを使用する方針。
一言でいうと、「ビーントゥカップ」を掲げるホットチョコレート専門ロースター、という立ち位置。










