境内の一角で、濃い紫のバナーがひときわ目立っていた。
白い文字で大きく「COFFEE FOR ME」。その下にSACHIOPIA COFFEEのロゴ。
テーブルクロスは花柄、ブレンド名は「OCHITSUKITAI」
「OMEGATAKAI」とリズムのある言葉が並ぶ。
きっちりスペシャルティなのに、空気はどこまでもゆるくて楽しい。
ここだけ少し、学園祭の屋台みたいな空気が流れていた。
第一章|サチオピアという「場所」
SACHIOPIA COFFEEは、吉祥寺を拠点にしたスペシャルティコーヒー
ブランド。
お笑いコンビ「コーヒールンバ」の平岡佐智男さんが手がけるロースターだ。
ブレンドの名前は、「落ち着きたい」「面構え高め」みたいな、
日本語の感情を切り取ったものが多い。
味わいの説明も、焙煎プロファイルだけでなく、
「こういう気分のときに飲んでほしい」というメッセージが一緒に添え
られている。
川越コーヒーフェスのボードにも、
「ブクロブレンド」をはじめ、ゲイシャの名前やブレンドの一言コメント
が手書きでぎっしり並んでいた。
写真付きのポップから、常連との距離の近さや、コーヒーを介した“友だちの輪”
のようなものが伝わってくる。
サチオピアは、豆のブランドであると同時に「人が集まる場所の名前」でもある。


第二章|生レモネードという選択
SACHIOPIA COFFEEのブースに着いたとき、すでにいくつものコーヒーで口も胃も
疲れていた。
ここで選んだのは、あえての生レモネード。
自家製のレモネードシロップをお湯で割った一杯。
淡いレモン色の液体が紙カップの中でゆらぎ、立ち上る湯気に、ほんのり
柑橘の香りが混じる。
口に含むと、まずくるのはレモンのやわらかな甘味。
最後までとげとげしさがなく、丸いまま喉の奥に流れていく。
胃に落ちていく感覚も、コーヒーとは違う。
温かさと優しさが、荒れかけた胃の表面を一枚ふわりと覆ってくれるような
イメージ。
付け合わせのレモンまでもが柔らかくて甘く、皮ぎりぎりまできれいに食べ
きってしまった。


第三章|カラフルなブースと、人の温度
SACHIOPIA COFFEEのテーブルには、色とりどりのブレンドパッケージとTシャツが
並ぶ。
「COFFEE FOR ME」のロゴが入ったシャツが、青や白で積み上がり、
花柄のクロスと一緒に、フェス会場の中でもひときわポップな風景を
作っていた。
スタッフの衣装も、黄色の法被やカラフルなボトムスで、視界がにぎやか
になる。
それでも手元の仕事は真剣で、抽出器具や大きなウォータータンクが、
このにぎやかさの中にも、「ちゃんとおいしいものを出す」という芯を感
じさせる。
コーヒーを淹れる合間に、生レモネードを仕込む手つきは慣れていて、
レモンを扱う動きひとつにも、屋台仕事に対する経験値の高さがにじむ。



第四章|サチオピア巡礼メモ「コーヒーの合間の一杯」
今回の注文:
自家製シロップを使った生レモネード(ホット)
味の印象メモ:
・最初にくるのは鋭さよりも甘味
・後味にかけて酸がじんわり引いていき、口の中がすっきりリセットされる感じ
・「酸で覚ます」というより、「甘さでなだめてから送り出す」タイプのレモネード
身体への届き方:
・ コーヒーで少し重たくなった胃が、内側から温められてほどけていく
・ 休憩の一杯としての役割が大きく、
ここからもう一巡りコーヒーを飲みに行くための“中継地”になった
感覚
ブースの記憶:
・花柄クロス+カラフルなパッケージ+にぎやかなトーク
・けれど飲み物そのものは、意外なほど落ち着いたやさしい味わい
・「COFFEE FOR ME」という言葉どおり、
そのときの自分のコンディションにいちばん合う一杯を選ばせてくれる場所
喫茶叙景文 ~コーヒーフェスのなかの、やさしい休符~
SACHIOPIA COFFEEのブースでレモネードを選んだことは、
フェス巡礼の中での小さな「脱線」だった。
けれど結果として、
その一杯があったから、またコーヒーの世界に戻っていけた。
SACHIOPIA COFFEEは、スペシャルティロースターでありながら、
コーヒーを飲む人の体調や気分まで含めて「COFFEE FOR ME」を考えてくれる
場所。
川越の境内で飲んだ生レモネードは、
次に飲むコーヒーの味まで、静かに底上げしてくれたように感じた。
この一杯もまた、川越コーヒーフェスの大事な一コマとして、巡礼ノート
に書き留めておきたくなる。
基本情報
- 1 住所:
-
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-5 インターロッジビル1F
猿田彦珈琲 吉祥寺 井の頭公園前店 店内で営業 - 2 アクセス:
-
JR中央線・京王井の頭線 吉祥寺駅 公園口から徒歩数分
七井橋通り沿い、井の頭公園からも徒歩圏 - 3 営業時間:
-
SACHIOPIA COFFEEとしての営業日は 毎週・月曜/火曜 8:00〜21:00
(猿田彦珈琲とのシェアショップ形式) - 4 備考:
-
スペシャルティコーヒー専門のブランド。
ブレンド名に「OCHITSUKITAI BLEND」「OMEGATAKAI BLEND」など、
気分やシーンを表す言葉を付けているのが特徴。例:OCHITSUKITAI BLENDは
なめらかな舌触りキャラメルのような甘さ
チェリーを思わせるフルーティさを兼ね備えた定番ブレンドとして紹介されている。
- 5 最新情報:
-
公式Instagram、オンラインストアに随時。イベント在庫まずはSNSで告知。










コメント