静かな住宅街を抜けた先、ほんの少しだけ奥まった場所に小さな木の看板が見える
そこが「喫茶 楽喜居(らっきぃ)」ーー”隠れ家“という言葉がぴったりの場所です。
ドアを開けると、柔らかな光のぬくもりが迎えてくれる。
棚にはどこか懐かしい漫画たち、そしてカウンターの片隅には、
この店の名の由来となった”猫・ラッキー” をイメージをした可愛らしい小物が飾られている。
ここは、派手さも主張もに喫茶店。
けれど、一度座ってしまうと、不思議と帰りたくなくなる。
コーヒーの香り、店主の笑顔、そして”ただいま”と言いたくなる空気。
ーーそんな朝霞にひっそり息づく「居場所」の物語を、紹介します。
第一章 喫茶「楽喜居」が生まれるまで
「喫茶 楽喜居(らっきぃ)」の始まりは、今からおよそ7年前。
けれどその物語の根っこは40年ほど前に遡る。
「 3,40年前に喫茶店を20年近くやってたんです。
一回やめて、この建物を建て替えるときに、また喫茶店にしたんですよ。」
店主の穏やかな声には、長年”喫茶“という空間に向き合ってきた人の静かな誇りがあった。
ここ「楽喜居」は偶然ではなく、人生の流れの中で自然と生まれた”帰ってきた喫茶店”です。
お店の名前「 楽喜居(らっきぃ)」には、かわいらしくも深い意味がある。
「 “ラッキー“はね、うちで飼っていた猫の名前なんです。
亡くなっちゃったけど、その子の名前をその子の名前をそのままお店にしたんですよ。」
そして、その音にぴったりと合う漢字を当ててーー「楽しく、喜び、居る」。
まるで猫がのんびり日向ぼっこしているような、やさしい響きになった。


第2章 ”こだわり”という、こだわり
「 楽喜居」の店主は、笑いながらこうお話をいただきした。
「コーヒーこだわりですか? ないですね。美味しければ、それでいいんですか」
あっけらかんとしたその言葉の裏には、長年”喫茶“という空間を見つめてきた人ならではの哲学がある。
この店の主役は、コーヒーではなく”人の時間”である。
店主は話します。
「 ここはね、空間を提供する場所だと思ってるんです。
みんながくつろげて、のんびりできて、それが一番大事。」
香りや味よりも、”空気“を大切にしている。
お客さんが仕事帰りにふらって立ち寄って、ため息ひとつついて、また明日頑張れる。
そんな時間を提供することーーそれが「 楽喜居」のいちばんの”こだわり”なのです。
「 昔ながらの雰囲気を残したいんです。
全国チェーンじゃなくて、ちょっとレトロチックな感じ。」
木目の家具に茶色のクロス、カウンターの奥にはゆるやかに時を刻む時計。
派手な装飾はないのに、どこか懐かしく、落ち着く空間がそこにある。
店主にとって”おしゃれ”とは、誰かのまねではなく、自分たちが心から落ち着ける
形をつくること。
「ここから見える景色とか、この雰囲気とか、全部思い描いていたおのなんです。」
まるで、長年の夢が形になったようにーー「 楽喜居」は、穏やかなレトロの
中には”理想の喫茶店“を描いている。



第三章 ”顔なじみ”がつくる、地域の喫茶店
「懲りずに来てくれるお客さんがいるのが、いちばんうれしいです。」
そう微笑む店主の言葉には、”常連“という言葉を超えた、あたたかい信頼関係がにじんでいた。
駅から少し離れた場所にある「 楽喜居」。
それでも毎日のように訪れる人がいるのは、この店が”人の居場所“になっているからだ。
「 あそこに行ってお茶して」、のんびりしたいなー。
そんなふうに思ってもらえたら、それが一番なんです。」
この”いつも”が続くことこそ、地域の喫茶店にとって宝物なのだ。
「地域密着でね。駅から遠くても、歩いてでも来てくれるのが嬉しいんです。」
近くに飲食店が少ないこのエリアで「楽喜居」はちょっと特別な存在だ。
”ご飯が作るのが面倒だから行こうかな“ーーそんな気軽さで立ち寄れる場所。
でも、その何気ない一歩が、いつのまにか”居心地の良さ”に変わっていく。
店主は語る。
「お客さんが代わっても、代々つながってくれたらいいなと思うんです。」
それはまるで、喫茶店というバトンを人から人へ手渡すような願い。
“ただの店”ではなく、”日常の風景の一部”でありたいーー
そんな思いが、この場所の空気をあたためている。



第四章 ”家庭の味”に帰る喫茶ご飯
「料理のこだわり? ないんです。修行とかはしてないですし。」
店主はそう言って笑った。
けれど、その笑顔の裏には、長年の”喫茶ご飯”の重みがある。
20歳の頃から喫茶店に立ち続けてきた店主が大切にしていることは、
「身近で慣れ親しんだ味」。
特別な技術よりも、食べる人が”ほっとする味”を目指している。
「難しいものじゃなくて」、家の延長みたいな感じで食べてもらえたらいいなって」
「個人的にね、カルボナーラを一番推しています。」
店主がそう語る”喫茶のカルボナーラ“は、まさに家庭の味。
なぜなら、家族経営のこのお店では、昔から家で出しているものと同じものを
お客さんにも出しているからとのこと。
生クリームが重く残るようなこってりとしたソースではなく、
皿の上でソースがすっと消えていく、軽やかな仕上がり。
「 どっちかというとさっぱり系。
最後はお皿が乾いちゃうぐらいの感じです。」
それは、家の食卓に座るような安心感をくれる一皿。
食べ終えたあと、ふと心が緩む。
「こてこてが苦手な人には、たぶんうちのが合うと思う。」

ランチを締めくくるデザートには、アイスと栄養士の友人に教わった”手作りクッキー“
が添えられている。
サクッとした軽やかさのあとに、ほのかな甘みが口に残る。
「友達の栄養士さんに教えてもらって、そのまま作ってるんです。」
粉っぽさがなく、素朴でやさしい甘さ。
それが、ブレンドコーヒーのまろやかな苦味にぴったり寄り添う。
飲むたびにクッキーの香ばしさがふわっと広がり、
“コーヒーの時間“がより深く、ゆるやかに流れていく。
このクッキーは店内だけではなく、お土産としても購入できる。
実際に買って帰る人も多く、私も買わせていただいたひとりだ。
家で淹れたコーヒーと合わせると、喫茶楽喜居の穏やかな午後がふと蘇る。
「好きな人はクッキーだけ買って帰る人もいるんですよ。」
派手なスイーツではない。
けれど、コーヒーと一緒に味わうと、なんとも言えない幸福感に包まれる。
「これ、おいしいね」と笑いながら、ついもう一枚。
そんな小さなやり取りが、この喫茶店の”日常“を育てている


第五章 これからの「楽喜居」ーー地域とともに、ゆっくり
続いていく場所
「喫茶楽喜居」は、華やかに拡大を目指すお店ではありません。
むしろ、地域の人たちがふと立ち寄り、ほっと一息つける場所でありたい
と願う喫茶店です。
「駅から遠いし、徒歩じゃないと来づらいけど、それでも来てくれる人が嬉しいんです。」
常連さんの多くは近所の方々。
「いつもの席」「いつもの一杯」「いつもの会話」ーー
そんな日常の積み重ねが、この店の温もりを作っています。
「お店は、みんなで集まって何かができる”きっかけ”の場所であればいいと思ています。」
その言葉どおり、「楽喜居」はコーヒーを飲むだけの場所ではなく、
地域の人たちが気軽に集まり、語らい、笑い合う”コミュニティ“でもあるのです。
いつか、2階も使ったイベントや集まりが開くかもしれません。
それは大きな夢ではなく、”人と人が自然に集まる喫茶店“という、確かな夢。
最後に 猫が見守る、静かな幸せの場所
店内のどこかに、そっと猫のモチーフが隠れている。
それは、かつて店主がともに暮らした愛猫「ラッキー」への小さなオモージュだ。
「 猫の名前をお店にしたんです。
だから、どこかにちょこちょこっと猫がいますよ。」
その言葉通り、店内の温かな空気には、
“ラッキー”が静かに見守っているような優しさが流れている。
コーヒーの香り、カップの音、常連さんの笑い声。
その1つひとつが、喫茶 楽喜居という名の”居心地”を作っている。
このお店には、派手な宣伝も、大きな看板も」ない。
でも、ふと足を止めて中を覗いた人が気づく。
ここには「ゆっくりしていいんだよ」という時間が流れているのだと。
帰り際、ドアの向こうで振り返ると、
店主の穏やかな笑顔がそこにある。
まるで、いつでも戻ってきていいよと語りかけてくるように。
今日もまた、猫のラッキーが
カウンターの奥で、静かにしっぽを揺らしているのかもしれません。

基本情報
- 1住所:
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埼玉県朝霞市膝折町4-2-42
- 2電話番号:
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048-464-8038
- 3定休日:
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毎週火曜日・第3水曜日
- 4特徴:
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住宅街の中、”隠れ家”を名乗る喫茶店。静かに落ち着ける雰囲気が口コミで語られます。
















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