冬の空気は、香りを遠くまで運ぶ。
湯気の立つテントの中、抽出の音だけが薄く残り、コーヒーは「飲み物」より先に「空間」になる。
厚木珈琲のブースに立つと、まず“説明”が過剰ではない。
代わりに置かれているのが 地図。
好みを言葉で詰めず、座標に置き換え、迷い方ごと肯定してくる——
その姿勢が、最初の一口より手前で伝わってくる。
第一章|強みは「自社農園」。甘みを、畑から持ってくる
「こだわりとか強みってありますか?」の問いに返ってきた答えは、明確だった。
「僕たちはやっぱりグアテマラに自社の農園がありまして、そこで栽培から取り組んでいるところが一番大きな特徴ですね。」
「毎年僕たちはグアテマラに行って、農家さんと一緒に作っているコーヒーです。」
“買う”より“作る”に近い距離。
その距離感が、味の方向性にもそのまま反映される。
厚木珈琲が大事にしているのは、コーヒーの持つ 甘み。
苦味や酸味の話の手前で、甘みを「土台」に据える。
甘みは、後味に残る“静かな説得力”になる。
そこを狙っている店は、飲み手の生活に長く居座る。

第二章|ATSUGI COFFEE MAP——好みがわからない人へ、地図を渡す
コーヒーの好みがわからない!」
焙煎度で味が変わる、と前提をほどいてから、選び方をシンプルに示す。
・深煎り:コクや苦味が増え、口当たりもしっかり
・浅煎り:軽やかでフルーティな酸味が感じられる
・厚木珈琲は4種類以外にも、いろいろ用意している(という“余白”)
そして右面が真骨頂。ATSUGI COFFEE MAP として、味わいを座標に置く。
縦に 軽やか ↔ どっしり、横に スッキリ ↔ コク深。
そこへ 厚木ブレンド/相模川ブレンド/黎明ブレンド/ATSUGI COFFEE FARM/期間限定 が配置されている。
言い切りすぎないのに、迷子にさせない。これが地図の強さ。
“好みがわからない”は欠点ではなく、伸びしろだと教えてくる紙。
この一枚があるだけで、試す楽しさが「不安」から「探索」に変わる。
第三章|家に連れ帰れる味——粉は細かめ、温度は低め
家で再現するなら、という問いへの答えも、方向性が一貫していた。
「僕たちはやっぱりコーヒーの持つ甘みをすごく大事にしているので、どちらかというと粉は細かめに、温度は若干低めに抽出しています。」
ここが実用として効く。
甘みは、抽出が荒れると“すぐに逃げる”。
粉を細かくして、温度を落とし、輪郭を整える。
甘みを残すための、コントロール。

第四章|買ったもの:厚木珈琲お試しセット(5個入り)
今回の戦利品は 厚木珈琲お試しセット。
(ブースでは「5個入りのバラエティセット」として並んでいた)
・REIMEI BLEND(黎明ブレンド)
・ATSUGI BLEND(厚木ブレンド)
・SAGAMIGAWA BLEND(相模川ブレンド)
・期間限定のドリップパック(写真2)
・もう1種(セット内のバリエーション枠)
そして、今回の“期間限定”が強い。
期間限定:Decaf / Medium Roast(Odakyu’s mocoron × ATSUGI COFFEE)
パッケージに明記されているのは Decaf(カフェインレス) と Medium Roast(中煎り)。
さらに Odakyu’s mocoron × ATSUGI COFFEE のコラボ表記。
夜にも置ける。けれど、味を薄くしない。
この設計が、生活の中で効いてくる。
「飲みたい時間に飲める」は、コーヒーの幸福度を底上げする。
限定でそれを差し込んでくるのが、うまい。

ペアリング|甘みの輪郭を、別の甘さで照らす
「僕らのコーヒーだとガトーショコラとか、
今日飲み比べでもご用意しているナチュラルは、例えばレーズンとか、ドライフルーツとか、
そういったものと合わせやすいかなと思います。」
甘みを大事にするコーヒーに、ガトーショコラは正しい。
苦味が“深く”なり、甘みが“奥へ”動く。
ナチュラルにレーズンやドライフルーツを合わせると、果実味が“連想”で伸びる。
おすすめ
・ガトーショコラ:甘みの奥行き、余韻を増幅
・レーズン/ドライフルーツ:ナチュラルの果実感を補助線にする

所作メモ|MAPに載る“美味しい入れ方”
「美味しい入れ方がわからない!」の欄は、そのまま実戦メモになる。
・粉とお湯の比率:1:16
・ドリップバッグ:粉10g → お湯160ml
・最初の1投:粉全体にお湯が触れる程度に回しかける
・30秒蒸らし
・2投目以降:円を描くように、優しく回しかける
ここに、現地の言葉を重ねるなら——
粉は細かめ/温度は若干低め。
甘みを逃がさないための下準備として、この2点が効く。
家での再現TIP|甘みを“奥に残す”ために
・湯温は気持ち低めに寄せる(熱すぎると輪郭が荒れやすい)
・粉は細かめで、抽出を安定させる
・蒸らしは短すぎず長すぎず、30秒を目安に
・2投目以降の注ぎは、勢いより 静けさ
円を描くように、粉を暴れさせない
夜に飲む Decaf / Medium Roast は、特にこの「静けさ」が合う。
甘みが“夜の速度”に落ちてくる。

喫茶叙景文 ~白いテントの内側で、香りは静かに輪郭を持つ~
テントの白は、街の光を少し柔らかくする。
コーヒーを待つ列には、言葉が多くない。けれど、誰も急いでいない。
湯が落ちる音は細く、ふっと途切れ、また戻る。
人の呼吸もそれに合わせて、少しだけ揃う。
甘みというのは、派手な味ではない。
舌の上で騒がず、飲み込んだ後で、ようやく“そこにいた”と気づかせる。
厚木珈琲の言う甘みは、そういう種類のものだと思う。
強く主張するのではなく、消えないように守る。粉を細かくして、温度を少し落として、
余韻の奥で灯るように。
紙の地図が、手元に残る。
軽やか、どっしり。スッキリ、コク深。
言葉が座標に変わるだけで、迷いは「失敗」ではなくなる。
次はどこへ行くか、というより、次はどの辺りを歩くか。
味の選択が、散歩になる。
夜のための一袋も、同じ棚に置かれる。
Decaf。Medium Roast。
かわいい顔をしたパッケージが、
生活の時間割に静かに割り込んでくる。
眠る前にも、コーヒーは許されるのだ、と。
帰り道、手に残るのは熱ではなく、輪郭。
がどこに座るのか、という輪郭。そして、あの地図の余白。
次に開くとき、自分の座標は少しだけ動いている気がする。
それが、コーヒーの祝祭の正体なのかもしれない。
店舗概要
- 1 住所:
-
神奈川県厚木市東町3-7 WILL1階
- 2営業時間:
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平日 10:00~16:30
土日祝10:00~18:00
火、水定休日
- 3備考:
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拠点が複数あるため、来店・営業日は公式SNS/公式サイトで最新確認推奨
- 公式Instagram:











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