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茂みから現れたねこと、実家みたいなごはん屋さん 坂戸「和カフェ 蒼いねこ」

 坂戸駅を降りて数分。ビルの一角に、のれんに」猫のシルエットが描かれた
「和カフェ 蒼いねこ」がある。
 店内に入ると、濃い色のカウンターと障子越しの光がやわらかい小上がり。
どこか親戚の家に遊びに来たような、肩の力がふっと抜ける空気が流れている。

 看護師として長く医療現場に立ってきた店主が目指したのは、「実家みたいに、
のんびりしていってもらえる場所」。
日替わりのおかずが並ぶ定食と、からだを気遣ったおやつ。ここは、食べりことと
生きることを、そっと結びなおしてくれる和カフェだ。

第一章 「蒼いねこ」という名前に込めたもの

 店名の「蒼」は、草冠に「倉」と書く字。
空の青ではなく、茂みの奥にひそむ、少し緑を含んだ青を思わせる漢字に
なる。

 店名の家で暮らす保護猫は、もともと茂みからひょっこり現れた子たち。
その姿に重ねて、「茂みから出てきた猫たちにも幸せのおすそ分けができる
くらい、お店がちゃんと続いてほしい」という願いを込めて、蒼いねこと
名付けたという。

 もう一つの願いは、「なごみのいこいの場」
誰にとってもホっとできる場所であってほしいーー そんな思いが、まあるい
ロゴと猫のシルエットにぎゅっと閉じ込めている。

第二章 駅前に「長居できる喫茶」がほしかった

 坂戸駅前にはサッとお茶を飲んで帰るチェーン店はあっても、
「落ち着いておしゃべりしたり、本を開いたりできる喫茶店がない」。
そんな娘さんの鶴の一声がお店づくりの背中を押した。

 条件はただひとつ、駅チカであること
条件探しを重ね、今の場所を紹介してくれた不動産屋のスタッフが
言った一言が決め手となった。

 「ここは冬、日当たりが良くてとっても明るいんです」

 飲食店を構えるなら、明るさは何より大事。そう感じて、その場で
ゴーサインを出したという。

 実際に入ってみると、窓から差し込む光が、ステージのように一段上
がった小上がりをやわらかく照らしている。
カウンターの青いタイル、木目のテーブル、畳に置かれた丸い座布団。
「明るい場所には人が集まるから」と店主が話す通り、ここには自然と、
ゆっくりしたい人たちが集まってくる。

第三章 家庭の延長線上にある、野菜たっぷりの定食

 蒼いねこのごはんは、いわゆる「カフェごはん」というより、家庭料理の
少しだけ
よそ行き版。
黒板には、A~Dまでの日替わり・週替わりメニューが並ぶ。

  • A:ハンバーグ おろしポン酢
  • B:粒マスタードチキングリル
  • C:スープカレー(限定)
  • D:肉巻き梅醤なす(限定)

 どのメニューにも共通しているのは、野菜をたっぷり使うこと
店主は看護師時代から「食べることは生きること」と考えてきた人で、糖
尿病やアレルギーなどを抱える人でも、できるだけ安心して食べられるご
はんを目指している。

 将来的には、カロリー表示やアレルギー表示をきちんと整えた特別メニュ
ーも用意していきたいとのこと。
予約制での対応も少しずつトライしていて、「またこのご飯が食べたくって
来ました」と戻ってくるお客さんも増えている。

第四章 黒ごまケーキが連れてくる、香りの余韻

 スイーツの中でも印象的なのだが、黒ごまケーキ
黒くしっとりと焼き上げられた生地を一口かじると、ごまの香りが喉の奥
からふわっとせり上がってくる。
鼻を突き抜け、頭の方まで追いかけてくるような、ごまの余韻。思わず
「えっ」と驚いてしまうほど存在感のある香りだ。

 添えられた生クリームにも、仕上げに少しごまが振られている。
ケーキと一緒に口に運ぶと、ただのクリームだったはずが、ごまの風味を
まとった”ごまクリーム”へと変身する。
オレンジのスライスのさっぱり感も相まって、一皿でリセットと充足が同
時に訪れるようなデザートになっている。

 料理もスイーツも、「おいしいけれど、からだにもちゃんと優しいか」を軸
に組み立てている店主。
医療現場での経験があるからこそ、日々の食事がからだに与える影響を、
知識としても感覚としても理解しているのだと感じる。

第五章 コーヒーとお茶、そしてこれから

 コーヒーについて、店主は「まだ専門店のようなこだわりまでは持ってい
ない」と率直に話す。
今はお店として無理のない価格と安定した味を優先し、将来、お店がもっと
落ち着いてきたら、各地のロースターを巡って「蒼いねこらしい一杯」を見
つけたいと考えているそうだ。

 一方で、すでに大切にしているのがお茶
和カフェらしく、和菓子に合わせやすい緑茶として、埼玉・狭山市の狭山茶を
採用している。

 抹茶は、「きちんと点てるならこちらも本気でやらないと」との思いから、
オーダー制ではなく、希望する人が自分で点てる体験用の道具を用意する
スタイルにしている。

 和菓子には緑茶を、食後にはコーヒーを。
その日その人の気分とからだに合わせて、飲み物を選べるようにしている
のも、蒼いねこらしい心配りだ。

第六章 「実家みたい」と言われる、居場所づくり

 蒼いねこには「ここにいると実家みたいで落ち着く」と話す常連さんが
少なくない。
 ある客さんは、「親でも家族でもないのに、私のために温かいご飯を作っ
てくれるのが本当にうれしい」と照れながら話したという。

 店内では、お客さん同士が自然につながっていく。
「友達の友達だった」 「ご近所さんだった」とあとから気づくご縁も多い。
一人でふらりと来ても、気づけば誰かが話し相手になっている–そんな光景が、
ここでは日常だ。

 店主が描くこれからの夢は、子ども食堂のような場や、和菓子づくりのワーク
ショップ。
菓子パン一つで学校へ向かう子どもたちにも、「ちゃんとしたご飯」を食べても
らえる場所。
そして、お母さんたちも一緒に「こうやって作ればいいんだね」と学べる場所に
していきたいと話していた。

喫茶叙景文 ~駅前に「心が許せる家」ができたら~

 午後の光が障子にうすく透けて、
小上がりの畳を白く撫でていく。

カウンターには、使い込まれたポットやカトラリーが
静かに並び、奥の厨房では、誰かのためのスープが
コトコトと音を立てている。

黒ごまのケーキを一口。
「この前のあの話さ」と笑いながら、
まるで家族の状況を交換するみたいに、
日々の出来事を行き来させている。

ここでは、初めて来た人も、
気づけば誰かの知り合いになっていく。
友だちの友だちが、本当の友だちに変わるまえの距離が、
驚くほど短い。

食べることは、生きること。
そう信じる人の手から生まれた、
野菜たっぷりのごはんと、からだを気づかうおやつが、
今日も静かにテーブルへ運ばれていく。

駅前のビルの二階。
小さな実家のような場所。

ゆっくりしていきなさい、という声なき声が、
湯気とともに、席まで届いてくる。

基本情報

1住所:

埼玉県 坂戸市 三光町付近(坂戸駅北口から徒歩数分のビル二階)

2アクセス:
  • 東武東上線・坂戸駅 北口より徒歩約3~5分
  • 駅前通りを少し歩いた先のビル2階
3営業時間:
  • ランチ・カフェタイム 11:30頃~夕方(18:00前後)
  • 日替わり・週替わりメニューあり
    ※営業時間。定休日は公式SNSで最新情報を要確認。
4備考:
  • テーブル席・小上がり・カウンター席
  • 野菜多めの家庭料理風ランチ
  • 予約制でアレルギー・カロリー配慮のメニュー相談可
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