2026年– date –
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喫茶録
酸の輪郭、甘さの影|SPECIALTY COFFEE BEANS No.13(横須賀・衣笠)
白いテントの中は、光が均一で、影が少ない。均一だからこそ、道具の形がよく見える。湯の落ち方がよく見える。手の迷いがよく見える。 黒いドリッパーが三つ並び、紙カップが積まれ、カードが整列している。視界のノイズが少ない。布には SPECIALTY COFFE... -
喫茶録
甘さを焙煎で彫り出す|ALL SEASONS COFFEE(神奈川)
人の流れが速い場所ほど、コーヒーは「飲み物」に戻されがちだ。買って、受け取って、歩きながら飲んで、忘れていく。 でもALL SEASONS COFFEEの前だけ、足が一拍ぶん遅くなる。黒いバッグ、色の違うラベル、木箱に並ぶドリップバッグ。お菓子の籠がちゃん... -
道具・グッズ
砂糖の向こうに、畑の匂いがする|アトリエ・シュクレ(大泉学園)
大通りの音が薄くなっていく方へ、曲がるたびに空が広くなる。看板は大きく主張しないのに、そこだけ“甘い空気が通る道”になっていて、足が自然にゆっくりになる。 お店の前に出ている案内には、「米粉シフォンケーキ、焼菓子を販売しています」。 そして... -
喫茶録
cafe LANI──住宅街に根を張る小さなハワイ
住宅街の朝は、音が少ない。自転車のブレーキがひとつ鳴って、角を曲がると、白い壁の内側に、やわらかな色が灯っている。 ここは 大泉学園 の、生活の速度に合わせて呼吸している店。派手な演出ではなく、日々の「いつもの」を、少しだけ気持ちよくしてく... -
日記・巡礼メモ
街の息を揃えるあいだ(HandMade In Japan Fes〈HMJ〉2026冬)
東京ビッグサイトの西ホールへ向かう動線は、朝の光と一緒にゆっくり膨らんでいった。入口付近の大きなサイン、足元に反射する床の冷たさ、そこを埋める人の流れ。ハンドメイドのイベントは、作品そのものより先に「作り手の時間」が空気に滲む。今日は“買... -
道具・グッズ
HMJで見つけた、夜に似合うマグ|sureliyの陶器がくれる静けさ
人の波のなかで、ふっと足が止まる場所がある。それは派手な色でも、大きな声でもなくて、白の静けさで呼び止める。 小さなランプの灯りの隣に、ゆるやかな曲線の器たち。sureliy――“陶器のお店”と書かれたボードが、会場のざわめきに薄い膜を張っていた。... -
道具・グッズ
暮らしに寄り添う、コーヒーカップの設計図|kobayashi pottery studio
HMJの会場は、歩く人の熱と、紙袋の擦れる音と、遠くの笑いで満ちている。その流れの中で、kobayashi pottery studioの棚だけは、なぜか“静か”だった。木の棚に並ぶカップは、色が主張しすぎないのに、目が離せない。青、薄緑、砂色、土の赤。器がこちらを... -
喫茶録
ベリーのジャム、ダージリンの静けさ|nano-coffeeroasterのドリップパック案内
nano-coffeeroasterは、その瞬間を狙い撃つようにエチオピアだけを焙る。産地を広げる代わりに、同じ国の中のテロワール(育った土地の個性)と、精製(つくり方)の差分を掘り下げていくスタイルだ。一杯のなかに「花」「果実」「発酵」「紅茶」が同居す... -
喫茶録
天秤の焙煎がほどく休息|LIBRA COFFEE SHOP のブレンド便
イベント会場の空気は、たいてい少し乾いている。人の声、遠くで鳴るアナウンス。そういう“ざわめき”がひとつの天気みたいに流れている。 そんな中で、LIBRA COFFEE SHOP の前だけ、香りがゆっくり歩いているように感じた。掲げられていた言葉は、まっすぐ... -
喫茶録
太陽の国から、概念を揺らす一杯——HMJで出会ったlala una coffee
会場のざわめきの中で、ふいに足が止まった。香り、ではなく——言葉が先に立ったからだ。 「『美味しい』の先にある『面白さ』を。」この一文は、コーヒーを“好き”で終わらせない。飲み手の側に、小さな責任と好奇心を同時に置く。かつて世界を席巻し、歴史...