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毎日の名をした一杯|EVERYDAY Cafe(SAITAMAコーヒーマルシェ)

イベント会場の中で、EVERYDAY Cafeのブースはひと目でわかった。鮮やかな水色のクロスに、大きく置かれた「自家焙煎珈琲」の文字。その前に並ぶ豆袋とドリップバッグ、そして数種類のドリンク。

にぎやかなマルシェの空気の中で、そこだけ少し肩の力が抜けていた。特別な日だけに飲むコーヒーではなく、生活の途中に置ける一杯。店名にあるEVERYDAYという言葉が、そのままブースの雰囲気になっていた。]

コンセプトは、「毎日楽しいコーヒー」。難しく構えすぎず、けれど豆の個性はきちんとある。深煎りには、しっかりとした苦味。浅煎りには、果物を思わせる明るさ。日常の中に合わせるための幅が、静かに用意されていた。

第一章|EVERYDAY Cafeという店:日常に寄り添う自家焙煎

EVERYDAY Cafeは、東京都目黒区原町、西小山エリアにある自家焙煎のコーヒー店。

ブースには、豆、ドリップバッグ、ドリンクが並んでいた。
棚の上段には白いパッケージのドリップバッグ。
下段には、豆の色味が見える透明袋や茶色の袋。
深煎りらしい黒に近い豆と、浅煎り寄りの明るい豆が並び、焙煎度の違いが視覚でも伝わってくる。

店の軸は、ハンドドリップ。
一杯ずつ湯を落とし、豆の個性を引き出すスタイル。
イベントでは回転の速さも求められるが、それでも「ただ出す」のではなく、
飲む人の手元にきちんと届く一杯を意識している印象があった。

EVERYDAY Cafeの魅力は、強い主張で押し切るタイプではない。
「毎日飲める」「毎日選べる」「毎日少し気分を変えられる」。
その穏やかな広がりにある。

第二章|深煎り:しっかり苦いコーヒーと、甘いあんこ

深煎りのコーヒーが持つ苦味、香ばしさ、重心の低さ。
そこに、あんこの丸い甘さが重なる。
苦味が甘さを引き締め、甘さが苦味をやわらげる。

深煎りとして「ベトナム ダラット カティモール WS」が写っている。
商品説明には、苦味や麦茶のような香ばしさ、ナッツ、ハーブの印象が挙げられていた。
産地はベトナム、地域はラムドン省ダラット、品種はカティモール。
精製はウォッシュド。

この豆は、派手な果実感で押してくるというより、香ばしさや落ち着きに寄った一杯として想像できる。
麦茶、ナッツ、ハーブ。
そこに深煎りの苦味が乗るなら、和菓子との相性はかなり良い。

甘いあんこに合わせるなら、コーヒーは甘くしすぎない方がいい。
深煎りの苦味があることで、口の中がだらっと甘くなりすぎない。
羊羹、どら焼き、あんバター、あんぱん。
和の甘さと深煎りの距離が近いことを、改めて感じさせた。

第三章|浅煎り:果物系のスイーツへ伸びる明るさ

深煎りがあんこなら、浅煎りは果物。
この分け方がとても自然だ。
コーヒーを難しい専門用語で語らなくても、食べ物との相性から入ると、味の輪郭は一気につかみやすくなる。

浅煎りの豆は、「エチオピア タラトゥ ベライ ナチュラル」。
商品説明には、紅茶のような印象、カシス、チェリー、ベリーのような風味、落ち着いた果実感が記されていた。
産地はエチオピア、南エチオピア州ゲデオゾーン、ゲデブ、タラトゥ。
標高は2000〜2100m、精製はナチュラル。

エチオピアのナチュラルらしい果実感がありながら、説明には「落ち着いた風味」という言葉もある。
華やかすぎて飲み疲れるというより、紅茶のような軽さと、ベリー系の酸をゆっくり楽しむ方向の豆だろう。

果物系のスイーツと合わせるなら、ベリーのタルト、チェリーの焼き菓子、柑橘のパウンド、りんごのケーキあたりが浮かぶ。
浅煎りの酸味が、果物の酸と手を結ぶ。
甘さを重ねるのではなく、香りを合わせるペアリングになる。

深煎りが「甘さを受け止める」コーヒーなら、浅煎りは「香りを広げる」コーヒー。
EVERYDAY Cafeのブースには、その二つの入口が置かれていた。

所作メモ:ハンドドリップという、毎日の速度

EVERYDAY Cafeの抽出の軸は、ハンドドリップ。
イベント会場では、どうしてもスピードや提供数が求められる。
それでもハンドドリップには、人の手を通して一杯を作る温度がある。

ハンドドリップの良さは、豆に合わせて表情を変えられることだ。
深煎りなら、苦味を出しすぎず、香ばしさと余韻を整える。
浅煎りなら、酸が尖りすぎないように、甘さと香りを拾う。
同じ「お湯を注ぐ」という行為でも、狙う味によって注ぎ方の意味が変わる。

深煎りのベトナムなら、湯温を少し落として、苦味を丸く出すのが合いそうだ。
浅煎りのエチオピアなら、香りを開かせるために、やや高めの湯温で明るさを引き出したい。

ただし、EVERYDAY Cafeの言葉はあくまで「毎日楽しいコーヒー」
抽出を難しくしすぎる必要はない。
大切なのは、毎日の中で続けられること。
完璧なレシピより、「今日の気分に合う一杯」を選べることに、この店らしさがある。

家での再現TIP|深煎りはあんこ、浅煎りは果物へ

深煎りのベトナム ダラット カティモールは、苦味と香ばしさを楽しむ方向で淹れたい。
細かくしすぎると苦味が強く出るため、中挽きから中粗挽きあたりが扱いやすい。
湯温は少し低め、抽出は長く引っ張りすぎない。
しっかりしたコーヒー感を残しつつ、後味を重くしすぎないのが狙いになる。

合わせるなら、甘いあんこ。
どら焼き、あんぱん、あんバター、最中。
深煎りの苦味が、あんこの甘さをきれいに切ってくれる。
ミルクを少し加えて、あんバターと合わせるのも良い。

浅煎りのエチオピア タラトゥ ベライ ナチュラルは、香りと果実感を楽しむ方向。
挽き目は中挽き、湯温はやや高め。
抽出の前半で香りをしっかり出し、後半は重くしすぎない。
紅茶のような軽さ、カシスやチェリー、ベリーの印象を拾いたい。

合わせるなら、果物系のスイーツ。
ベリーのタルト、りんごの焼き菓子、柑橘のケーキ。
コーヒーの酸と果物の酸が重なり、甘さだけではない余韻が生まれる。

ペアリング|甘さの隣に、焙煎の影を置く

EVERYDAY Cafeのペアリングは、わかりやすい。
深煎りには、あんこ。
浅煎りには、果物。

この整理が良い。
コーヒーに慣れていない人でも、選びやすい。
「苦いコーヒーには甘いもの」だけで終わらず、どんな甘さと合わせるかまで見えてくる。

深煎りとあんこは、和のペアリング。
香ばしさ、苦味、豆の甘さ。
そこに小豆の甘さが重なる。
口の中に残る余韻は、どこか落ち着いている。

浅煎りと果物系スイーツは、香りのペアリング。
酸味、果実感、軽やかな甘さ。
食後のデザートというより、午後の光に合う組み合わせだ。

コーヒーは、単体で飲むだけではない。
何と一緒に置くかで、味の意味が変わる。
EVERYDAY Cafeの豆は、その変化を日常の中で試しやすい。

買うならこの2本|毎日を分ける深煎りと浅煎り

① ベトナム ダラット カティモール WS/深煎り
しっかり苦いコーヒーを飲みたい日向け。
麦茶、ナッツ、ハーブのような香ばしさ。
甘いあんこ、和菓子、あんバター系との相性が良い。

② エチオピア タラトゥ ベライ ナチュラル/浅煎り
紅茶のような軽さと、カシス、チェリー、ベリーの果実感を楽しみたい日向け。
果物系のスイーツと合わせると、香りが伸びる。
明るい一杯が欲しい午後に向いている。

同じ店の豆でも、深煎りと浅煎りで役割が違う。
朝に深煎り、午後に浅煎り。
和菓子の日は深煎り、果物の焼き菓子の日は浅煎り。
そんなふうに、生活の中で選び分けられる。

これが、EVERYDAY Cafeという名前の良さでもある。

喫茶叙景文 ~毎日の名前をした青~

水色の布が、会場の光を受けて明るく揺れていた。
その上に、豆の袋が並ぶ。
白い袋、茶色の袋、透明の袋。
焙煎の深さが、色になって棚に置かれている。

コーヒーは、ときどき特別なものとして語られる。
産地、品種、精製、焙煎、抽出。
たしかに、その奥には深い世界がある。
けれど、EVERYDAY Cafeの前に立つと、少し違う入口が見えてくる。

毎日飲むこと。
毎日選ぶこと。
毎日、ほんの少し気分を変えること。

深煎りの袋を手に取れば、あんこの甘さが浮かぶ。
浅煎りの説明を読めば、果物の酸と午後の光が浮かぶ。
どちらも、遠い世界のものではない。
台所の棚、仕事帰りの机、休日の小さな皿。
生活の中に置けるコーヒーだ。

イベントのざわめきの中で、青いブースは静かに日常を差し出していた。
特別な一杯ではなく、明日も飲める一杯。
その軽やかさの中に、焙煎の影と、手で淹れる温度が残っていた。

店舗概要

1 住所:

東京都目黒区原町1-7-8 クラフトビレッジ西小山 a-01

2 アクセス:

―東急目黒線「西小山駅」の出口から徒歩約2分。

3 営業時間:

― 11:00〜21:00(L.O. 20:30)※14:00〜16:00頃の間に2時間ほど中休み(休憩)を挟む場合があります。定休日: 月曜日(月曜が祝日の場合は営業し、翌火曜日が休み)

4 備考:

エチオピアなどのシングルオリジンを丁寧に淹れたハンドドリップコーヒーやエスプレッソが自慢です。タイミングが合えば店内で店主が焙煎している風景を見ることもできます。エスプレッソをジンジャーエールで割った「エスプレッソジンジャー」などのアレンジドリンクもあります。

5公式Instagram:
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