住宅街の道を歩いていると、白い壁の小さな店が現れる。強く主張するわけではないのに、光の反射だけで空気が変わる。入口のガラスには、SUNNY VEGGIE TERRACE の文字。足元にはモザイクタイルで描かれた店名。実家のタイル屋を改装して始めた店——。その言葉を聞いた瞬間、この空間の“白さ”に理由が生まれる。壁も、床も、光も、どこか柔らかい。カフェというより、“身体を休ませる温室”みたいな空気だった。
第一章|野菜を売りたい。そのためにコーヒーがある
新座の住宅街に、白い外壁の小さな店がある。
ガラス越しに見えるのは、カフェらしいドリッパーやカウンター。
けれど、この店の芯にあるのは、コーヒーだけではない。
Sunny Veggie Terrace が最初に届けたかったもの。
それは、“野菜”だった。
店主さんは、自身で畑を持ち、無農薬・有機肥料で野菜を育てている。
店内には、こんな言葉が掲げられていた。
「病気で入院経験から
健康のため 大切な人や環境のため
無農薬・有機肥料で
オーガニック栽培を始めました」
ただ美味しいだけではなく、
“安心して食べられること”まで含めて料理を考えている。
だからこの店では、
パスタも、スープも、焼き菓子も、全部が野菜へ繋がっている。
実際、野菜販売も行っているが予約制。
開店直後でも既に売り切れていることがあるそうだ。畑は工場ではない。
収穫時期も、採れる量も、全部ずれる。
だから「今日はこの野菜がある」が、そのまま店の空気になる。
店主さんは、
「野菜を採れるように、パスタやスープを作った」
と話してくれた。
印象的だったのは、その順番だった。
“カフェをやりたかった”ではなく、
“野菜を届けたかった”。
その結果として、コーヒーや料理が並んでいる。
だから Sunny Veggie Terrace は、
コーヒースタンドというより、“暮らしの入口”に近い。

第二章|生クリームとゴーダチーズのカルボナーラ:気付けば皿が空になっていた
今回選んだ食事は、
「生クリームとゴーダチーズのカルボナーラ」皿が届いた瞬間、
まず目に入るのは野菜の色だった。
緑が濃い。白いソースに沈まず、ちゃんと“野菜の輪郭”が残っている。
フィットチーネには濃厚なソースが絡む。そこへ多種のシーフードが混ざり、塩気と旨味を重ねてくる。
重たいカルボナーラではない。けれど軽すぎもしない。
ゴーダチーズの丸みが、フィットチーネの平たい麺へ静かに貼り付き、気付けば皿が空になっていた。
サラダも、“添え物”の扱いではない。
葉の香りがちゃんと立っていて、店の芯が「野菜側」にあることがよくわかる。

第三章|晴れた日のお茶会:その日のためだけに作る景色
この日、店内では「晴れた日のお茶会」という限定企画が開かれていた。毎月あるものではない。
店主さんが、「この日に出そう」と前々から決めて準備したものだという。
並んでいたのは、
・米粉クッキー
・オートミールクッキー
・ポテトバイツ
・はちみつマンゴーソーダ
・はちみつシャインマスカットソーダなど。
特に印象的だったのは、“甘さの作り方”。
派手な映えだけではなく、どこか身体へ寄せた甘さになっている。
米粉。オートミール。野菜。はちみつ。
“食べたあと重くなりにくい”方向へ全体が揃えられている。
店内の白さも相まって、午後の光そのものを食べているみたいだった。


第四章|アイスコーヒー:鼻へ抜けるフローラル
コーヒーは店主さんおすすめのアイス。
「万人に飲みやすいものを」
そう選ばれた一杯だった。
飲み口はすっきり。
重さより、透明感が先に来る。
けれど薄いわけではない。
飲み込んだあと、鼻からふわっとフローラルさが抜ける。
豆は、志木駅近くの豆屋から仕入れているそうだ。
ただし基準は単純で、
「自分が美味しいと思ったもの」
その感覚が軸になっている。
抽出を見ていると、
計量しながら静かに注ぐ。
氷へ落とし、輪郭を締める。
“映えるドリンク”ではなく、
食事と一緒に飲むための軽さとして設計されていた。


第五章|炭酸の機械と、白い空間
店内には炭酸抽出の機械も置かれていた。
銀色の装置。
透明なガラス。
白い壁。
まるで理科室みたいなのに、空気は柔らかい。
ここが面白い。
最新機材を置いても、“機械感”が強くならない。
野菜。白。淡い色。やわらかい照明。
全部が同じ方向を向いているからだ。
だから Sunny Veggie Terrace は、
コーヒー店というより、
「身体を休ませる場所」
として記憶に残る。

第六章|野菜を推していきたい店
最後に聞いたこれからの話。
店主さんは、
「もっと野菜を推していきたい」
と話していた。
コーヒーを主役にしたいわけではない。
スイーツだけでもない。
野菜を軸に、身体へ入るもの全体を整えていきたい。
だからこの店では、
コーヒーも、
スープも、
パスタも、
クッキーも、
全部が同じ呼吸で並んでいる。
“カフェ”という言葉だけでは、少し足りない店だった。
ペアリング|白い午後に合うもの

喫茶叙景文 ~畑の呼吸が、白い店に残っている~

店舗概要
- 1 住所:
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埼玉県新座市野火止5-16-5 井口タイル店 敷地内
- 2 アクセス:
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―JR宇都宮駅東口から徒歩約1分(デッキ直結)
- 3 営業時間:
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― 主に11:00〜(日によって異なります)
定休日: 月曜日〜木曜日(金・土・日の中で不定期営業。最新の営業日は 公式Instagram で告知) - 4 備考:
-
無農薬・有機肥料の自家製野菜&ハーブ:敷地内で大切に育てられた新鮮な無農薬野菜やハーブを使用しています。営業日には、収穫したての新鮮な泥付きネギやジャガイモなどの「お野菜マルシェ(販売)」が行われることもあります。
- 5公式Instagram:










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