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木の街に、コーヒーの駅が灯る|soko station 146(KOTO COFFEE & CRAFT MARKET)

木場公園の空気には、少しだけ水辺の匂いが混じっていた。
春の光が芝生を照らし、テントの白が風に揺れる。
人の流れはゆるやかで、けれどコーヒーの前に立つと、その歩幅だけが少し遅くなる。
KOTO COFFEE & CRAFT MARKET。コーヒーとクラフトが並ぶこの場所で、
最初に足を止めたのが soko station 146 のブースだった。

新木場にある、倉庫をリノベーションしたカフェ。
ただコーヒーを出すだけではなく、空間、デザイン、地域、
ものづくりを一つの場所で受け止めている。
そして話を聞いていくうちに、ひとつの線がつながった。

b提供されていたのは、国際資格を持つバリスタが焙煎・監修しているスペシャリティコーヒー。
その監修に関わるのが、以前ご挨拶し、
インタビューでもお世話になった ROCA Coffee Roasters さんだった。

イベントの中で出会った一杯が、過去に出会った人の仕事へとつながる。
それは偶然ではなく、コーヒーを追いかけてきたから見えるようになった、静かな伏線だった。

第一章|soko station 146という場所:新木場にある“倉庫の駅”

新木場は、木材の街としての記憶を持つ場所。
倉庫や工場、ものづくりの気配が残る土地に、soko station 146 はある。

名前にある 146 は、住所の「1-4-6」とも響き合う。
そこに “station” という言葉が重なることで、単なる店舗名ではなく、人やものが立ち寄り、
出発していく場所のように感じられる。

倉庫をリノベーションした空間は、カフェでありながら、イベントや展示も受け止める余白を持つ。
コーヒーを飲む場所であり、誰かの表現が立ち上がる場所でもある。

だから、soko station 146 の一杯は、カップの中だけで完結しない。
新木場という街の空気、倉庫の余白、木材の記憶。
それらを背景にして、ようやく輪郭が見えてくる。

第二章|イベントの中のsoko station 146:クラフトの空気に馴染む一杯

KOTO COFFEE & CRAFT MARKET の会場では、コーヒーだけが主役ではなかった。
焼き菓子、クラフト、雑貨、地域の空気。それぞれのテントが、自分たちの小さな世界を持ち寄っている。

その中で soko station 146 のブースは、過度に声を張ることなく、自然にそこにあった。
提供されていたのは、スペシャリティコーヒー。
しかも、国際資格を持つバリスタが焙煎・監修している一杯。

ここで大切なのは、「資格があるからすごい」という話ではない。
味を見極め、整え、誰にでも飲みやすい形に落とし込むための土台があるということ。
そして、その背景に ROCA Coffee Roasters さんがいると知った瞬間、味の印象が少し変わった。
以前、ROCAさんとお話ししたときに感じたのは、コーヒーを“わかりやすく届ける”ことへの誠実さだった。
専門性を前に出しすぎず、けれど味のつくりには妥協しない。
その姿勢が、soko station 146 の一杯にも流れているように感じた。

知らない店の一杯ではなく、知っている人の仕事が遠くで灯っている一杯。
そう思うと、カップの中にある温度が、少しだけ深くなる。

第三章|味わいの印象:日常へ戻っていくためのスペシャリティ

今回、印象に残ったのは、浅煎りと深煎り、それぞれの味の方向性だった。

浅煎りは、香りを重視した一杯。特に、エチオピアと中国の豆が入っていることからも、
華やかさや香りの立ち上がりを意識した構成だと感じる。

パッションフルーツ、ライチ、ブラウンシュガー
明るい果実感がありながら、最後に甘さが残るタイプ。
ただ酸っぱいだけではなく、香りがふわっと広がり、余韻にやわらかい甘さが残る。
果実の軽さと、砂糖のような丸み。そのバランスが、イベントの空気にとてもよく合っていた。

一方で深煎りは、ぐっと落ち着いた印象。
フレーバーは、ダークチョコ、ナッツ、アーモンド。

苦味だけで押す深煎りではなく、香ばしさと甘さのある深煎り。
チョコレートのような厚みがあり、ナッツの香ばしさが後味に残る。
浅煎りが“光のある果実”なら、深煎りは“影のある甘さ”。
同じブースの中に、まったく違う二つの時間が並んでいた。

所作メモ:イベントの一杯を整えるということ

イベントでコーヒーを出すことは、店舗で出すこととは違う。

風がある。気温がある。人の流れがある。
会話の途中で注文が入り、写真を撮る人がいて、次の人が待っている。

その中で一杯を整えるには、味だけではなく、提供のリズムも必要になる。
soko station 146 のブースには、その“整える”感覚があった。
専門性を強く押し出すのではなく、まず飲みやすい入口をつくる。
その奥に、ROCAさんの焙煎・監修という確かな背景がある。

飲みやすい入口をつくり、背景には専門性を置く。
この順番が、イベントの一杯としてとてもよかった。専門性は、前に出しすぎると壁になる。
でも、奥にきちんとあると安心になる。

家での再現TIP|soko station 146らしさを家で近づけるなら

家で再現するなら、浅煎りと深煎りで少し考え方を変えたい。

・浅煎りの場合
浅煎りは、香りをきれいに出すことが大切。
豆:15g
湯量:230g
湯温:92〜94℃
挽き目:中細挽き
抽出時間:2分20秒〜2分50秒
蒸らし:30g、30〜40秒
狙うのは、パッションフルーツやライチのような香り。
湯温は少し高めにして、香りをしっかり開く。
ただし、注ぎが荒いと酸が強く出やすいので、前半は細く丁寧に注ぐ。

深煎りの場合
深煎りは、苦味を出しすぎず、甘さを残すことが大切。
豆:15g
湯量:220g
湯温:86〜88℃
挽き目:中挽き
抽出時間:2分10秒〜2分40秒
蒸らし:30g、30秒
狙うのは、ダークチョコ、ナッツ、アーモンドの余韻
湯温を少し下げることで、苦味を丸くし、甘さを残しやすくなる。

同じ店のコーヒーでも、浅煎りと深煎りでは淹れ方が変わる。
そこを意識すると、家でも味の表情がぐっと見えやすくなる。

ペアリング|木陰に置く、静かな甘さ

今回聞いたペアリングも、味の方向性がわかりやすかった。

浅煎りには、チョコやあっさりとしたスイーツ
パッションフルーツやライチのような香りがあるため、重たいクリーム系よりも、
軽やかな甘さの方が合う。
チョコを合わせるなら、ミルクチョコよりも、少しカカオ感のあるもの。
果実の香りとチョコの甘さが重なると、ブラウンシュガーの余韻がきれいに伸びる。

あっさりしたスイーツなら、シフォン、フィナンシェ、軽めの焼き菓子がよさそう。
浅煎りの香りを邪魔せず、口の中に余白を残してくれる。

深煎りには、テリーヌ
これはかなり納得感がある。
ダークチョコ、ナッツ、アーモンドの印象がある深煎りには、濃度のあるチョコレート菓子が合う。
テリーヌの重さを、深煎りの苦味と香ばしさが受け止める。

浅煎りは、香りを伸ばすためのペアリング。
深煎りは、甘さを支えるためのペアリング。

この対比が、soko station 146 のコーヒーをより立体的にしていた。

買うならこの2本|soko station 146で注目したいもの

1:香りを楽しむなら、浅煎り
今回特に印象的だったのは、浅煎りの香り。
エチオピアと中国の豆が入っているという構成からも、華やかさを大切にした一杯だった。
パッションフルーツ、ライチ、ブラウンシュガーの印象が好きな人には、
まずこちらをすすめたい。
朝や昼の明るい時間に飲むと、香りがきれいに立つ。
焼き菓子と合わせるなら、重たいものより軽めのものがよい。

2:甘さと余韻を楽しむなら、深煎り

深煎りは、ダークチョコ、ナッツ、アーモンドの印象。
落ち着いた時間に飲むなら、こちらが合う。
特にテリーヌのような濃厚なスイーツと合わせると、
コーヒーの苦味と菓子の甘さがきれいに重なる。
夜にゆっくり飲む一杯としてもよさそうだった。

喫茶叙景文 ~新木場の空気に、コーヒーが混ざる~

新木場という地名には、乾いた木の音が残っている。
海に近い風が吹き、倉庫の壁が光を受け、街の奥でまだ何かが組み立てられている。
木材の匂い、工場の気配、トラックの走る音。そのすべてが、
都心のカフェとは違う速度で流れている。

soko station 146 は、その速度を急がせない。
倉庫をリノベーションした空間には、余白がある。白い壁、天井の高さ、光の入り方。
そこに人が集まり、展示が立ち、音が鳴り、コーヒーが注がれる。

KOTO COFFEE & CRAFT MARKET の会場で飲んだ一杯は、その場所の縮図だった。
紙カップの中に、すべてが入っているわけではない。
けれど、カップを持つ手の向こうに、新木場の倉庫が見えた。木の街の記憶が見えた。
そして、ROCAさんの仕事へとつながる、静かな線が見えた。

コーヒーは、ときどき人の記憶を運んでくる。初めて会った店。以前話したロースター。
イベントの風。写真に残ったカップ。
その場ではばらばらに見えていたものが、あとから一枚の地図になる。
soko station 146 の一杯は、強く主張する味ではなかった。
けれど、帰り道に残る種類の味だった。

珈琲巡礼は、こうして深くなっていく。
店をひとつ訪ねる。一杯を飲む。話を聞く。その奥に、別の誰かの手があることを知る。
木の街に、コーヒーの駅が灯っていた。その灯りは派手ではない。
けれど、次の巡礼へ向かう足元を、たしかに照らしていた。

店舗概要

1 住所:

東京都江東区新木場1-4-6 2F

2 アクセス:

―JR・東京メトロ・りんかい線「新木場駅」から徒歩約5分

3 営業時間:

営業時間:
CAFE: 11:00 〜 17:30
DINNER: 18:00 〜 22:30(平日は韓国料理、土日祝はカフェバー形式)

4 備考:

国際資格を持つバリスタが監修・焙煎した高品質なスペシャルティコーヒーを提供しています。選べる焙煎: 浅煎り(エチオピア産など、シトラス系の爽やかな酸味)と深煎り(ブラジル産など、チョコレートのような甘みとコク)から選択可能です。

5公式Instagram:
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