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丸沼美術サロン|朝霞で出会う、美術とバウムクーヘンの喫茶時間

朝霞の静かな場所に、美術と喫茶が同じ時間の中にあるサロンがあった。

作品を眺める。
バウムクーヘンを選ぶ。
コーヒーを待つ。
器に触れる。
お茶をいただく。

その一つひとつが、急がず、静かに重なっていく。

今回訪れたのは、丸沼美術サロン

埼玉県朝霞市にある、美術鑑賞と喫茶を一緒に楽しめる場所だ。
店内には、丸沼芸術の森が所蔵する美術作品が展示され、季節ごとに展示内容が変わる。
そして、その空間の中で、丁寧に焼き上げられたバウムクーヘンと飲み物を楽しむことができる。

ここは、ただのカフェではない。
ただのギャラリーでもない。

美術作品を見る時間と、菓子を味わう時間が、同じ席に静かに並んでいる。
その感覚がとても印象的だった。

第一章 丸沼美術サロンという、美術と喫茶の場所

丸沼美術サロンは、埼玉県朝霞市にある、美術と喫茶を楽しめるサロンである。

公式情報では、最上の素材を用いて丁寧に焼き上げたバウムクーヘンの製造・販売・喫茶を行う場所
として紹介されている。
店内には、丸沼芸術の森が所蔵する美術コレクションが展示され、作品を眺めながら喫茶時間を過ごせる。

展示される作品は、工芸、日本画、洋画など、部屋ごとに異なるジャンルで構成されている。
展示替えは年4回。
約4ヶ月ごとに作品が入れ替わるため、訪れる季節によって見える景色が変わる。

この「季節ごとに変わる」という点が、喫茶店としても面白い。

同じ席に座っても、壁にある作品が違う。
同じバウムクーヘンを食べても、目に入る絵が違う。
同じコーヒーを飲んでも、その日の展示によって余韻が変わる。

丸沼美術サロンでは、喫茶時間が固定されない。
展示替えとともに、時間そのものが少しずつ表情を変えていく。

第二章 丸沼倉庫と、芸術を支えるまなざし

丸沼美術サロンの背景には、丸沼倉庫がある。

倉庫会社でありながら、若い作家を育てたいという思いから、芸術に力を入れてきた。
母体となる丸沼芸術の森は、芸術家の制作研究を支えるためにコレクションを収蔵し、
展覧会や講演会なども行う芸術拠点である。

若い作家を育てる。
作品を集める。
展示する。
地域に芸術を開く。

その延長線上に、丸沼美術サロンがある。
つまり、ここで過ごす喫茶時間は、単なる休憩ではない。
作品と出会う時間であり、芸術を身近に置く時間でもある。

朝霞市への寄付など、地域や芸術文化への関わりもある。
企業が芸術を支えるということ。
そして、その芸術を一部の人だけのものにせず、喫茶という形で開いていること。

ここに、丸沼美術サロンの大きな意味がある。

美術館のように構えて入る場所ではない。
かといって、ただ飲食するだけの場所でもない。
バウムクーヘンを食べながら、自然に作品が目に入る。
コーヒーを飲みながら、展示の余韻が残る。

芸術が、日常の速度に近づいてくる場所だった。

第三章 古民家再生の和洋折衷空間

丸沼美術サロンの建物も、大きな魅力の一つだ。

公式情報では、100年以上の歴史を持つ古民家の柱や梁を利用して再生した店舗と紹介されている。
茅葺を思わせる屋根や、和紙を通して柔らかく入る自然光など、和洋折衷の建築として設計されている。

新しく整えられた空間でありながら、古いものの気配が残っている。
この感覚が、店内の美術作品やバウムクーヘンとよく合っていた。

古民家の柱や梁は、時間を受け止めてきた素材だ。
そこに美術作品が展示される。
そして、そのそばで層を重ねたバウムクーヘンが焼かれる。

古い木の時間。
作品の時間。
焼き菓子の時間。
コーヒーを待つ時間。

それぞれの時間が、店内で静かに重なる。

丸沼美術サロンは、明るく開けたカフェというより、少し背筋が伸びるサロンだった。
けれど、冷たさはない。

空間は上品でありながら、バウムクーヘンの甘さがそこにやわらかさを加えている。

第四章 バウムクーヘンがある理由

丸沼美術サロンの中心にある甘味は、バウムクーヘンだ。

公式情報では、神戸で修業したスタッフによるバウムクーヘンの製造工程を、
ウィンドー越しに見ることもできると紹介されている。
実際に、焼き上げられたバウムクーヘンが棒状のまま並ぶ様子は、とても印象的だった。

なぜバウムクーヘンなのか。そのきっかけはひらめきだったという。

この「ひらめき」という言葉がいい。バウムクーヘンは、層を重ねて焼く菓子だ。
生地を塗り、回転させ、焼き、また塗る。その繰り返しの中で、年輪のような断面が生まれる。

美術サロンに置かれる菓子として、これほど似合うものも少ない。

絵を描くことも、彫刻を作ることも、作品を集めることも、時間を重ねる行為だ。
バウムクーヘンもまた、時間を層にしていく菓子である。

ひらめきから生まれた選択だったとしても、
結果として、丸沼美術サロンの空間にとてもよく馴染んでいた。

所作メモ|層を焼く、湯を落とす

丸沼美術サロンで印象的だった所作は、二つある。

一つは、バウムクーヘンを焼く所作。

棒に生地を重ね、回転させながら焼いていく。
焼き色がつき、また生地が重なる。
そうして、一本のバウムクーヘンができていく。

これは、単なる菓子作りというより、時間を巻き取る作業のように見えた。

もう一つは、コーヒーを淹れる所作。

通常、ハンドドリップはバックヤードで行われるとのことだった。
しかしこの日は、特別に目の前で淹れていただいた。

白いドリッパーにペーパーがセットされ、黒い細口ポットから湯が静かに落ちる。
粉がふくらみ、香りが立ち、ガラスサーバーにコーヒーが少しずつ溜まっていく。

その動きは、派手ではない。
けれど、美術作品を眺める時間と不思議に重なっていた。

見る。
待つ。
香りを受け取る。
変化に気づく。

バウムクーヘンを焼くことも、コーヒーを淹れることも、どちらも手仕事だ。
丸沼美術サロンでは、その所作まで空間の一部になっていた。

飲んだ一杯|サロンに寄り添うハンドドリップ

コーヒーは、付き合いのあるコーヒー店から仕入れているとのことだった。

一杯ずつハンドドリップで淹れられたコーヒーは、サロンの空気によく合っていた。
強く主張するというより、バウムクーヘンや展示作品の余韻に寄り添う一杯。

白地に銀の装飾が入った上品なカップは、Noritake
カップの裏には、Noritakeの文字があった。
その器に注がれたコーヒーは、静かな艶を持っていた。

コーヒーの楽しさは、味だけではない。
どの器で飲むか。
どの空間で飲むか。
何を眺めながら飲むか。

丸沼美術サロンのコーヒーは、そのすべてを含んでいる。

展示作品を見たあとに、席へ戻る。
カップを持つ。
ひと口飲む。
その間に、作品の記憶が少し落ち着いていく。

ここでのコーヒーは、目を覚ますための飲み物ではない。
見たものを身体の中に沈めるための一杯だった。

第五章 バウムクーヘンと季節の味

店内には、個包装のバウムクーヘンが並んでいた。

ソフト、抹茶、メロン、赤肉メロンなど。価格は税込350円。
手に取りやすく、持ち帰りにも向いている。

季節ごとの味も展開している。夏はメロンやレモン。
秋は和栗、チョコ、キャラメル

この季節感も、丸沼美術サロンらしい。

展示替えが年4回あるように、バウムクーヘンにも季節の移ろいがある。
夏に訪れれば、メロンやレモン。秋に訪れれば、和栗やチョコ、キャラメル。
展示と甘味の両方が、季節の記憶になる。

バウムクーヘンは、日持ちのする焼き菓子でありながら、ここではただの土産ではない。
美術サロンで過ごした時間を、家に持ち帰るための小さな作品のようにも見えた。

第六章 サービスでいただいた、特別なお茶

コーヒーとは別に、サービスでお茶もいただいた。

それは、滋賀県産のやぶきた茶。
口に含むと、しっかりとした旨みがあり、玉露を思わせるような深さを感じた。

さらに印象的だったのは、そのお茶の背景だ。

この生産者さんは、すでに生産を辞めてしまったとのこと。
つまり、今この場で飲めること自体が特別なのだという。

飲み物は、いつでも同じようにあるとは限らない。
作る人がいて、育てる土地があり、続ける時間がある。
そのどれかが止まると、同じ味にはもう出会えない。

このお茶は、そのことを静かに教えてくれた。

そして、そのお茶が注がれていた器は、オーナーさんが作ったものだという。

展示作品だけでなく、手の中の器にも作り手の気配がある。
コーヒー、バウムクーヘン、美術作品、お茶、器。
丸沼美術サロンでは、それらがすべて「作ること」でつながっていた。

ペアリング|美術の余韻に合う甘さ

丸沼美術サロンでまず合わせたいのは、バウムクーヘンとホットコーヒー

バウムクーヘンには、層の甘みとバター感がある。
そこにホットコーヒーを合わせると、甘さが締まり、後味が整う。
特にソフトタイプなら、コーヒーの苦味が一番自然に寄り添う。

抹茶バウムクーヘンには、少し深めのコーヒーや、ほうじ茶、紅茶が合いそうだ。
抹茶の苦味とコーヒーの香ばしさが重なる。

メロンや赤肉メロンのような季節の味には、軽めのコーヒーや紅茶が良い。
果実の香りを重くしすぎず、爽やかに楽しめる。

秋の和栗には、中深煎りのコーヒー。
栗の甘みと、コーヒーの香ばしさが合う。
チョコやキャラメルには、深煎り寄りのコーヒーがよく合うはずだ。

ただし、この場所ではペアリングを難しく考えすぎなくていい。

作品を見たあとに、気になったバウムクーヘンを選ぶ。
その横にコーヒーを置く。
それだけで、十分に丸沼美術サロンの時間になる。

注文するなら|まずはバウムクーヘンとコーヒー

初めて訪れるなら、まずはバウムクーヘンとホットコーヒーを選びたい。

理由は、この場所の魅力が一番素直に伝わるからだ。

美術作品を眺める。バウムクーヘンを選ぶ。コーヒーを淹れてもらう。
Noritakeのカップで一杯を飲む。ゆっくりと時間を過ごす。

この流れそのものが、丸沼美術サロンの体験になる。

季節を楽しみたいなら、限定フレーバーを選ぶのも良い。
夏ならメロンやレモン。
秋なら和栗、チョコ、キャラメル。
展示替えと合わせて再訪すれば、その季節だけの喫茶時間になる。

持ち帰りなら、個包装のバウムクーヘンも良い。
美術サロンで過ごした余韻を、自宅のコーヒー時間に持ち帰ることができる。

丸沼美術サロンは、何かを急いで食べる場所ではない。
作品を見て、甘いものを食べて、一杯を飲み、少し呼吸を整える場所だった。

喫茶叙景文 層を重ねる場所

バウムクーヘンが、ゆっくりと焼かれていた。

棒に巻かれた生地は、回転しながら焼き色を深めていく。一層焼かれ、また一層重なる。
その繰り返しが、年輪のような菓子になる。

店内には美術作品がある。古民家の柱や梁がある。Noritakeのカップがある。
オーナーが作った器がある。

どれも、誰かの手から生まれたものだった。
この日は特別に、目の前でコーヒーを淹れていただいた。
細口ポットから湯が落ち、粉がふくらみ、サーバーに色が溜まっていく。
その動きは静かで、展示作品の前に立つ時間とどこか似ていた。

急がない。見つめる。変化を待つ。

コーヒーを飲む。バウムクーヘンの甘さを思う。そ
のあとに、滋賀県産のやぶきた茶をいただく。玉露を思わせる旨みが、口の中にゆっくり残る。

生産者さんは、もう生産を辞めてしまったという。
今ここで飲めること自体が、特別な時間だった。

丸沼美術サロンでは、作品だけが展示されているのではない。菓子を焼く時間も、
コーヒーを淹れる所作も、お茶を受け止める器も、すべてが作ることにつながっている。

美術と喫茶。バウムクーヘンとコーヒー。古い柱と新しい展示。
作家を育てる思いと、ひと口の甘さ。

そのすべてが、静かに層を重ねていた。

店舗概要

1 住所:

埼玉県坂戸市南町5-16 グレイスワン101号室

2 アクセス:

東武東上線「朝霞駅」から国際興業バス「内間木」行きに乗車し、「丸沼」バス停から徒歩約5分。
またはJR武蔵野線「北朝霞駅」から車で約10分。

3 営業時間:

― 10:00 〜 16:00
 定休日: 日曜日・月曜日・祝日

4 備考:

・ 丸沼美術サロンでは、丸沼芸術の森が所蔵する美術コレクションを店内に展示している。
 展示は季節ごとに年4回入れ替わり、陶芸作品や絵画など、
 豊かな作品に囲まれながら喫茶時間を過ごせる。

・ また、店内では神戸で修業を積んだ職人スタッフによる、手作りのバウムクーヘンを楽しめる。
 最上の素材を用いて丁寧に焼き上げられており、タイミングが合えば、
 ガラス窓越しに製造工程を見ることもできる。

・ 建物は、茅葺屋根を思わせる外観や、和紙を通して室内に入るやわらかな自然光など、
 空間そのものにもこだわりがある。美術、建築、喫茶がゆるやかに重なる、
 静かに過ごしたいサロンである。

5公式サイト:

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