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HandMade In Japan Fes|手仕事の会場で出会った、五つの喫茶時間

HandMade In Japan Fesの会場には、布、革、木、紙、金属、陶器、アクセサリー、雑貨。
さまざまな手仕事が並んでいた。

その中を歩いていると、時折、コーヒーの香りや焼き菓子の甘さが流れてくる。
作品を見る足を止め、ブースの前に立ち、店主さんの話を聞く。
その時間もまた、手仕事の一部だった。

今回の巡礼では、コーヒー店、ロースター、チーズケーキ専門店を回った。
YOKOTA COFFEE
BIKAS COFFEE
LIBRA COFFEE SHOP
カフェ百時
モカジャバコーヒーロースター

それぞれのブースには、違う土地、違う思想、違う香りがあった。
けれど共通していたのは、ただ商品を並べるだけではなく、一杯や一切れの向こうにある物語まで届けようとしていたことだった。

第一章 冷めても美味しい、YOKOTA COFFEEの一杯

最初に印象に残ったのは、YOKOTA COFFEEの「冷めても美味しい」という言葉だった。

イベント会場では、コーヒーをすぐに飲み切れるとは限らない。
作品を見たり、ブースを回ったり、人の流れに合わせたりしながら、少しずつ飲むことになる。
だからこそ、冷めても美味しいというこだわりは、会場の歩幅にとても合っていた。

焙煎したてのスペシャルティコーヒー。
白い布に描かれた猫のロゴ。
クラフト紙の袋に並ぶドリップバッグ。
そこには、手仕事の会場の中にある、もう一つの手仕事としての焙煎があった。

購入したブラジルのドリップバッグは、穏やかで飲みやすく、和菓子やあんことの相性も良さそうな一杯。
コーヒーに詳しい人だけでなく、これから選び方を知りたい人にも届くようなやさしさがあった。

冷めても続く味は、会場の時間に寄り添う味だった。

第二章 ネパールから届く、BIKAS COFFEEの発展

次に再訪したのは、BIKAS COFFEE

「BIKAS」はネパール語で発展を意味する。
その名の通り、BIKAS COFFEEのブースには、味だけでなく、ネパールの村、農家、雇用、資源活用までを見つめる視線があった。

ネパールの山奥でアグロフォレストリーにより育つコーヒー。
そして、コーヒーチェリーから作られたシロップ。
廃棄されるはずだった果肉に価値を生み出し、村の仕事や暮らしにつなげる取り組みが印象的だった。

購入したドリップバッグは、自然な甘みがあり、苦味が強く残らない。
モーニングにも、夜の一杯にも、普段の食事にも合わせやすい。
特別な菓子のためだけではなく、日常の食卓に置けるネパールコーヒーだった。

BIKAS COFFEEの魅力は、珍しさだけではない。
遠い土地の物語を、毎日のカップへ近づけてくれることにある。

第三章 京都で三代続く、LIBRA COFFEE SHOPの天秤

LIBRA COFFEE SHOPも再訪店だった。

ブースで目を引いたのは、「京都で3代続く珈琲」という言葉。
その横に並ぶ、すっきり、まったり、こっくり。
難しい専門用語ではなく、気分で選べるブレンド名がとても良かった。

LIBRAは天秤を意味する。
酸味と苦味。
香りと甘み。
軽さと余韻。
そのバランスを整えながら、日常へ置きやすいコーヒーにしている。

購入したのは、すっきり・まったり・こっくりの三種ブレンドセット

・すっきりは、朝のパンに合わせたい。
・まったりは、何にでも寄り添う万能型。
・こっくりは、チョコのように舌に残る甘さと合わせたい。

三つ並べると、朝・昼・夜の時間が見える。
コーヒーを味の専門知識ではなく、暮らしの気分で選ばせてくれる。
そこにLIBRA COFFEE SHOPのやさしさがあった。

第四章 カフェ百時、珈琲香るチーズケーキの時間

コーヒー店だけでなく、甘いもののブースにも大きな出会いがあった。それが、カフェ百時。

愛知県春日井市の古民家カフェで、手作りチーズケーキを届ける店。
店名の「百時」には、百人百通りの良い時間を過ごしてほしいという想いが込められている。

ブースには、たくさんのチーズケーキが並んでいた。
ニューヨーク、パンプキン、宇治抹茶、カプチーノ、紅茶、黒ごま、レアチーズ。
その中で選んだのが、キャラメル珈琲バスクチーズケーキだった。

自家製キャラメルソース。colorful coffeeのカフェオレベース。
オーガニックドライイチジク。ラム酒の上品な香り。

しっとり濃厚な生地の中に、珈琲の風味とイチジクの食感が重なる。
時折ジャリッとした粒感があり、甘さだけでは終わらない。
コーヒーと合わせることで、より深くなるチーズケーキだった。

珈琲巡礼は、コーヒー豆だけを追う旅ではない。
良い一杯の横に置きたい菓子を見つけることも、巡礼の一部だ。
カフェ百時の一切れは、そのことを教えてくれた。

第五章 モカジャバコーヒーロースター、千歳烏山の名を持つブレンド

最後に印象に残ったのが、モカジャバコーヒーロースター。

東京・千歳烏山と多摩永山を拠点にする、スペシャルティコーヒー専門の自家焙煎店。
多摩永山には焙煎所があり、ドイツ製のPROBATで焙煎している。

店主さんの話で印象的だったのは、目指している味だった。

雑味が抜け、後味がきれいで、最後にほんのり甘みで終わるコーヒー。

その言葉は、モカジャバコーヒーロースターの方向性をよく表していた。
派手に香りで驚かせるのではなく、飲み終わりの美しさを大切にしている。

購入したのは、ちとからブレンド
千歳烏山にちなむ、世田谷みやげ認定品のブレンドだ。

まろやかな中煎り系で、バランスが良く飲みやすい。
ほのかにフルーティーで、後味が重く残らない。
油分の強い菓子より、さらっとした焼き菓子や和菓子に合わせたい一杯だった。

街の名前を持つブレンドが、遠い産地の豆と日常の食卓をつないでいた。

所作メモ イベント会場で見えた“選ばせ方”

今回の巡礼で強く感じたのは、どのお店も選び方の入口を作っていたことだ。

YOKOTA COFFEEは、「冷めても美味しい」という言葉で、
イベント会場の飲み方に寄り添っていた。
BIKAS COFFEEは、ネパールの背景やチェリーシロップを通して、一杯の向こう側を見せていた。LIBRA COFFEE SHOPは、すっきり・まったり・こっくりという言葉で、気分から選ばせてくれた。カフェ百時は、ずらりと並ぶチーズケーキで、百人百通りの甘い時間を見せていた。
モカジャバコーヒーロースターは、豆の種類とドリップパック、アイスコーヒー、
ゼリーで、専門性と手軽さの両方を用意していた。

イベント会場では、来場者の時間は短い。
じっくり説明を聞ける時もあれば、一瞬で選ばなければならない時もある。

だからこそ、言葉、陳列、パッケージ、試飲、店主さんの一言が重要になる。

コーヒーの味だけでなく、どう手に取ってもらうか。
そこにも、それぞれの店の所作が表れていた。

ペアリングで見る五つの出会い

今回の巡礼は、ペアリングの視点でも面白かった。

YOKOTA COFFEEは、あんこや和菓子と合わせたい。
冷めても美味しい一杯だから、時間をかけて食べる甘味とも相性が良い。

BIKAS COFFEEは、普段の食事に寄り添う。朝食、パン、軽食、夜の静かな一杯。
特別な菓子だけではなく、毎日の食卓に置ける。

LIBRA COFFEE SHOPは、ブレンドごとに合わせ方が変わる。すっきりはパン。
まったりは何にでも。こっくりはチョコや余韻の残る菓子。

カフェ百時のキャラメル珈琲バスクチーズケーキには、中深煎りや深煎り、カフェオレが合う。
キャラメル、珈琲、ラム酒、イチジクの層を、コーヒーがさらに深くする。

モカジャバのちとからブレンドは、油分の強い菓子より、さらっとした甘さが合う。
和菓子、軽い焼き菓子、素朴なパン。クリーンな後味を活かす合わせ方が良い。

こうして並べると、コーヒーと菓子の関係は一つではないとわかる。
濃いものには深い一杯。軽いものには抜けの良い一杯。日常には、飲み疲れしない一杯。

巡礼の面白さは、ここにある。

買うなら イベントでの選び方

今回のような大型イベントでは、すべてを買うことはできない。
だからこそ、買う基準を持っておくと良い。

まず、その店らしさが出ているものを選ぶ。
YOKOTA COFFEEなら、焙煎したてや冷めても美味しい魅力が伝わるドリップバッグ。
BIKAS COFFEEなら、ネパールコーヒーやチェリーシロップ。
LIBRA COFFEE SHOPなら、三種ブレンドセット。
カフェ百時なら、気になるチーズケーキを一切れ。
モカジャバコーヒーロースターなら、地域名を冠したちとからブレンド。

次に、家で再現しやすいものを選ぶ。
ドリップバッグは、器具がなくても楽しめる。冷蔵・冷凍の菓子は、
家に帰ってからゆっくり味わえる。
イベント中に飲む一杯とは違い、自宅で記事を書く時の記憶にもなる。

そして、店主さんの言葉が残ったものを選ぶ。
今回でいえば、冷めても美味しい、発展、天秤、百人百通り、クリーンカップ。
こうした言葉は、味の記憶と一緒に残る。
イベントで買うものは、単なる土産ではない。その日の会話やブースの空気を持ち帰るものだ。

喫茶叙景文  手仕事の会場から、家のカップへ

会場を歩く。

布の色があり、木の匂いがあり、金属の光があり、紙の手触りがある。その間を、
コーヒーの香りがすっと通っていく。

一杯の前で立ち止まる。話を聞く。袋を手に取る。ケーキを選ぶ。その短い時間に、
遠い土地や店の歴史が重なる。

神奈川の焙煎。ネパールの山。京都で三代続く味。春日井の古民家。千歳烏山の街。

それぞれの場所が、東京ビッグサイトの会場に集まっていた。

家に帰り、袋を開ける。湯を沸かし、ドリップバッグをカップにかける。
冷蔵庫からチーズケーキを出し、皿に置く。

会場の賑わいはもうない。けれど、湯気の中に、あの日のブースが戻ってくる。

冷めても美味しい一杯。ネパールから届いた甘み。天秤のように整ったブレンド。
珈琲香るチーズケーキ。千歳烏山の名を持つコーヒー。

HandMade In Japan Fesで持ち帰ったものは、商品だけではなかった。
それぞれの店が大切にしている時間だった。カップを置く。
甘いものを一口食べる。もう一度、コーヒーを飲む。

手仕事の余韻は、家の中で静かに続いていた。

店舗概要

1 住所:

東京ビッグサイト 西1・2ホール

2 入場料:

―JR中央本線「勝川駅」から徒歩約5分(勝川駅前通商店街内)

3 開催日程:

― 2026年7月11日(土)・12日(日)
11:00 〜 19:00

4 備考:

HandMade In Japan Fesは、ハンドメイド作品だけでなく、フード、音楽、
ワークショップまで楽しめる大型イベント。
会場内は主に以下のエリアで構成されている。
マーケットエリア
アクセサリー、ファッション、インテリア、アートなど、一点もののオリジナル作品が並ぶメインエリア。
フード&カフェエリア
全国からこだわりの手作りフードが集まるエリア。
コーヒー豆、調味料、焼き菓子、パンなどが並び、ロースターや菓子店との出会いも楽しめる。出店数は約90店舗。
ミュージック&プレイエリア/お笑いステージ
注目アーティストのライブや、よしもとお笑いライブなどが行われ、会場全体を盛り上げるエリア。
ワークショップエリア
伝統工芸やクラフトをその場で体験できるエリア。
子どもから大人まで、ものづくりの楽しさに触れられる講座が開かれている。

5公式サイト:
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