新座市大和田。
街の生活に近い場所に、ひっそりと豆の香りを置く店がある。
A.M.style coffee。
そこは、華やかなカフェというより、コーヒー豆と向き合うための場所だった。
白を基調にした小さな空間。棚には焙煎豆が並び、奥には焙煎の道具が見える。豆の瓶、ドリップバッグ、焙煎機、資格証。派手な装飾ではなく、ひとつひとつの道具が、この店の姿勢を静かに語っていた。
この日、買って帰ったのは三つのドリップバッグ。
Cielo Blend、Santa Blend、そしてホンジュラス。
だが、この店でいちばん心に残ったのは、豆の種類だけではなかった。
店主さんがこの店を始めるきっかけになった、ひとつの記憶だった。
父へ贈るために入ったコーヒー店。そこで出会った香りと焙煎機が、いつか自分の店を持つという想いに変わった。
A.M.style coffee は、誰かに飲ませたい一杯から始まった店だった。

第一章|父へ贈るコーヒーから始まった店
A.M.style coffee は、自家焙煎コーヒー豆専門店である。
扱うのはスペシャルティコーヒー。豆販売を中心に、ドリップバッグや水出しコーヒーも並ぶ。
店主さんに、お店を始めたきっかけを聞いた。
原点には、実家でお父様が淹れてくれていたコーヒーがある。
昔からコーヒーは好きだった。しかし、自分がコーヒーの店を始めるとは思っていなかったという。
転機は、お父様へコーヒーをプレゼントしようと訪れた自家焙煎店だった。
その店に入った瞬間のコーヒーの香り。そして、そこにあった焙煎機。
そのふたつに強く惹かれたことが、いつかコーヒーの店をやりたいという想いにつながった。
この話が、とてもよかった。
コーヒーの始まりには、専門用語や技術だけでは届かない場所がある。
誰かに飲んでほしい。誰かに贈りたい。喜んでほしい。
そういう素朴な気持ちが、店の根にある。
A.M.style coffee の空気がやわらかく感じられたのは、おそらくそのためだ。
豆を売る店でありながら、ただ商品を並べているだけではない。
その奥に、贈り物としてのコーヒーがある。

第二章|スペシャルティコーヒーだけを扱う理由
A.M.style coffee のこだわりは、はっきりしている。
スペシャルティコーヒー豆だけを扱うこと。
仕入れ先の中でも、トップスペシャルティクラスの品質を厳選しているとのこと。
そして、豆を仕入れて終わりではない。焙煎前に何度も焙煎度合いを試し、カッピングを重ね、その豆が一番きれいに引き立つ火入れを探る。
この姿勢が、店内の棚にも出ていた。
豆の瓶には、それぞれの銘柄が並ぶ。
エチオピア、ブラジル、コロンビア、インドネシア、グアテマラ、ホンジュラス。
小さな説明カードには、甘味、酸味、苦味、香り、コクが視覚的にまとめられている。
豆を選ぶとき、何を基準にすればよいか迷う人にとって、この見せ方はありがたい。
香りを楽しみたいのか。
苦味を軸にしたいのか。
ミルクと合わせたいのか。
焼き菓子と合わせたいのか。
A.M.style coffee は、豆をただ売るのではなく、その豆をどう楽しむかまで想像させてくれる。

第三章|買ったもの|三つのドリップバッグ
今回買ったのは、三種類のドリップバッグ。
・Cielo Blend
・Santa Blend
・ホンジュラス|シティロースト
どれも11g入りのドリップバッグ。
自宅で器具を持っていなくても、その店の味の方向性に触れられる。
巡礼後に余韻を持ち帰るには、ちょうどよい形だ。
Cielo Blend|華やかさを引き出すブレンド
Cielo Blend は、店主さんが好きだというエチオピアの豆をメインにしたブレンド。
華やかさを引き立てるように組まれている。
棚の説明では、モカをベースにした華やかな果実感、程よい甘味、
酸味、コクのバランスが特徴として見えた。
このブレンドは、香りを前に出すタイプだ。
そのため、合わせるものは香りの強すぎる菓子より、シンプルな甘味のほうがよい。
店主さんも、和菓子との相性に触れていた。
たとえば、白あん、求肥、軽い焼き菓子。コーヒーの香りを邪魔せず、余韻を支えるものが似合う。
香りを主役にしたい日に選びたいブレンドだ。


Santa Blend|深煎りのやさしい苦味とコク
Santa Blend は、少し深煎り寄りのブレンド。
アイスコーヒーやカフェオレに合うように作られている。
深煎りの豆をブレンドし、ほどよい苦味とコクを出した一杯。
棚の説明にも、アイスコーヒーやカフェオレにもおすすめとあった。
このブレンドは、甘いスイーツと合わせやすい。
チョコレートケーキ、プリン、カステラ、あんこ系の菓子。
甘さを受け止める苦味があり、ミルクを入れても輪郭が残る。
名前の由来も印象的だった。
Santa は、店主さんが飼っていたワンちゃんの名前から付けられたもの。
もう会えない存在の名前が、ブレンドとして残っている。
そう聞くと、このブレンドの深い色合いにも、少し違う意味が生まれる。
ただの深煎りではなく、記憶をまとったブレンドだ。


ホンジュラス|キャラメルの香ばしさ
ホンジュラスは、シティロースト。
店主さんの言葉では、キャラメルのような香ばしさが楽しめる豆。
この豆には、クッキーやチョコレートが合う。
焼き菓子の香ばしさと、コーヒー側のキャラメル感が重なるからだ。
バターの香りがあるサブレ。ナッツ入りのクッキー。ビターすぎないチョコレート。
そうしたものと合わせると、香ばしさの層がきれいに重なる。
Cielo Blend が香りの空、Santa Blend が深い余韻なら、ホンジュラスは焼き菓子のそばに置きたい一杯だ。

第四章|豆を選ぶ楽しさが残る店
A.M.style coffee の良さは、飲食体験の派手さではなく、豆を選ぶ時間そのものにある。
瓶に入った豆。
小さな説明カード。
ドリップバッグの静かなパッケージ。
奥に見える焙煎の道具。
そこに、日常の中でコーヒーを選ぶ楽しさがある。
コーヒーは、飲む場所だけで完結しない。
家に持ち帰ってから、もう一度その店のことを思い出す時間がある。
湯を沸かす。
ドリップバッグを開ける。
粉の香りが立つ。
カップの中で、店の記憶がもう一度ほどけていく。
A.M.style coffee は、その「家に帰ってからの時間」まで含めて楽しめる店だ。

所作メモ|ドリップバッグで楽しむなら
ペアリング|三つの豆、それぞれの相手
買うなら|最初の三袋に選びたい構成
これからの展望——豆売りから、一杯を手渡す場所へ

喫茶叙景文|父へ贈る香りの先に

店舗概要
- 1 住所:
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埼玉県新座市大和田5丁目20-11
- 2 アクセス:
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―東武東上線「志木駅」やJR武蔵野線「新座駅」から少し離れた、跡見学園女子大学や立教大学新座キャンパスがあるエリアの近くに位置
- 3 営業時間:
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― 10:30 〜 21:30
定休日: 月曜日
駐車場: 無料駐車場あり - 4 備考:
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自家焙煎コーヒー豆、ドリップバッグ、水出しコーヒーなどを販売。
来店前に公式Instagram等で最新情報の確認推奨。 - 5公式Instagram:










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